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アラスカに行った。 とは云え勿論、白痴は現実アラスカに行った事も無く 書物でしか情報を知り得ないので 夢の中のアラスカは氷と砂利だけが主張する極端な表現具合で在る。
河ではない何かの水の流れを目の当たりにして立ち尽くす。 海の隙間にも見てとれる。 陸地には水晶に似た流氷が沢山転がっている。 水面の奥に生命の所在をまるで約束のように感じるが視認は出来ない。 ただそこに在るのだ、と思う。 揺るぎ無く、そう思う。
飽きるまで流れを眺め続けた後 隣に同行者が佇む事に気付く。 同行者はとても暖かそうな服を着ているのに まだまだ足りないと云った体で凍えながら、襟巻きに顎を埋める。
眼が覚めるまで言葉も交わさず淡々と流氷や冬の獣を眺め続けた。
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