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か た ま り 日 記


100kmとむんちん 。
100kmとむんちん 。
60km筑波。
50kmをすぎて数kmで完全に1人になって歩いていたけど
一応60km地点の筑波休憩所で追いついた。

休憩所の屋根の下、
暗い中、向かいに座っていたむんちんは
「70kmまでがんばるぞー!」
って言っていた。

なんで「70km」なんて言うんだろう、
完歩するぞーって言わなかったむんちんの言葉に違和感を持った。

遅れて到着したから
やっぱりむんちんたちと一緒に再出発することはできなかった。

どれくらい遅れて出発したかはちゃんと覚えていないけど
最短の時間で出発準備を済ませて次の休憩所を目指した。

昼間歩いた道だけどそのときは真っ暗。
ヘッドランプの明かりがビニール傘に反射して
顔の回りは多少明るかったけど
その他は遠くの街灯がオレンジに光るくらいで

そしてとても眠くて眠くて
歩きながら寝たり
気がつくと立ち止まって寝たり
そんな道中だった。

途中、桶さんがすごい勢いで追い越していった。
赤いディズニーのポンチョ。 
すごい、本当にみんなに追いつくつもりだ。

真っ暗な夜が明けて日の出。
視界が開けてきた頃
高架下で雨を凌げ、ベンチのあるスペースがあり
そこにむんちんがいた。

むんちんは地べたに座り込んで
先に来ていた3人組の仲間としゃべってた。

なんか
「もう1歩も歩けない」
って言ってる。

3人は先に出発。
私も足がボロボロだったからベンチに座って小休止。

「一緒にゆっくりいこう」
って誘ったけど
「もう無理」
って言う。

むんちんの言葉にはもう力がなかったし
完全に心が折れているような印象だった。

大会主催者のリタイア用番号に電話をかけてた。
一歩も歩けない、リタイアしたいと申告していたけど
チェックポイントまでは歩かないと回収してくれないみたいだった。

大会側の人が自転車で通りかかったので事情を説明したけど
それでもやっぱり60km地点に戻るか73km地点まで進むか
そうするしかないようだった。

なさけねー
とむんちんは叫んでたね。

嫁様に電話して
69km地点にいる。
もう一歩も歩けねー。
陸橋の下にいるから迎えにきて。
すごく寒い。
って言ってた。



私自身、身体も心も感覚が麻痺しかかっていて
励ます言葉もなかった。
一瞬一緒にリタイアしてしまおうかと思った。
でもそれは一瞬で進まなきゃって我に返った。
「悪いけど先いくね」
とむんちんを残して先へ進んだ。

感受性がものすごく落ちていたから
淡々と別れてしまったけど
今になるとあれでよかったのかなって考える。



東京マラソン。
30kmを過ぎた辺り。
何気なく
「足つったって走る!」
なんて言い放ったことが
むんちんの走り続けようとする助けになったと

つくばマラソン、タートルマラソン。
折り返しで声を掛け合いハイタッチ
また力が湧いてきたと

何回もむんちんの日記で嬉しい心の告白を受けてきた。

今回はそれができなかった。
できなかった。

それが本当に後悔。




4km歩いたところにまた陸橋があった。
ベンチがあったので腰を下ろしてそのまま横になり
1分なのか5分なのか10分なのかわからないけど
目を閉じていた。
そしたら上から
「◯◯ちゃーん!!!」
って声が聞こえる。
知ってる名前、知ってる声。
嫁様だ!

陸橋の上が見えるところに行くとむんちんの嫁様が。

あっち方面の次の陸橋の下にいます!

そう伝えてまた前に進んだ。
これで少しスムーズに嫁様に回収してもらえる助けになったかな。
そこで寝ててよかったと思った。


87km地点
数時間ぶりにむんちんと再会した。
乾いたジャージ姿で最後のエイドに立ってた。
泣くとも泣けないそんな難しい表情してたよ。
握手したかな。あんまり覚えてないけど。
ゴールで待ってるって言ってくれて。



99km過ぎ
もう少し元気だったら笑っちゃうくらいのすごい風と雨。
斜めにだだだだだって雨粒が吹き付けてくる。
今考えると最後の直線だったんだね。
前なんて見ていなかったんだけど
どこからともなくやけにでかい傘をさした嫁様が現れた。
一歩一歩嫁様と一緒に前に進んでいくと
道が突き当たりになっているように見えて
真っ正面にむんちん。


左を見るとゴールの横断幕。
制御できない感情の大波が来て
ひどい顔と声で泣いた。
それをたぶんむんちんは冷静に見ていたと思う。


ゴールした後お風呂に車で送ってもらっている時かな
それとも87で再会した時かな。
意外に普通そうに立って歩いていたむんちんに私は
ふつうにあるけてんじゃん
的なことを言ったらしい。
11月6日におうたの会で酔っぱらったむんちんに言われた。
確かに言った気がする。言った。
おめーに言われてすげー傷ついたって。
リタイア時、胃がつらかったとかわからなくてただ脚が壊滅的に傷んでいたんだと思っていたからそういうことを言ってしまったんだと思う。
11月も謝ったけど、
あらためて、
あのときは傷つけるようなことを言ってごめんなさい。


最後にむんちんの横を通過したメンバーとして救えなかった後悔と
心ない言葉をぶつけてしまった後悔。
もうこんな思いは持ちたくない。

だから今年も100kmを歩くのか。


そんな単純じゃない。

ほんとつらかった。
ほんとつらかった。

つらいつらい言っても
どれだけつらかったか
痛かったか
寂しかったか
怖かったか
長かったか
暗かったか
冷たかったか
地味だったか
なんてわかってもらえないだろう。

それだけ生きてきて最高のつらさだった。


だけど、それでも、あそこらへんに置いて来てしまった後悔を拾いに行きたいと思う。
拾って、むんちんがゴールしたらぽーんと打ち上げて、それで消えてなくなると思う。
そうしなくちゃいけないなと思う。


原則はむんちんより先に行かない。
願わくは、むんちんがゴールするところを見たい。
たくさんの仲間でその瞬間を祝福したい。
がんばらないとね。




☆一緒に歩く仲間たち☆
それぞれペースが違うからみんなで一緒には歩けないけど同じ道を歩いてるよ。
よろしくね。
がんばろうね。

☆応援に来てくれる方たち☆
みなさんの姿を見るだけで嬉しくなります。
ありがとう。
感謝の気持ちも胸に歩きます。

☆ここを見てとりあえずがんばれよって思った方☆
ありがとう。
強く念じててください。
その想いが私たちの力になります。



写真は田土部駅跡地付近の陸橋。
寝てたら嫁様が
「◯◯ちゃーん!!!」
って探しに来た橋。
私の中ではこの橋を◯◯ちゃん橋って呼んでいます。
2012/05/26 (Sat) 1:44




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