いまこのとき


きみのためにないてあげることさえ
居てはいけない。
そういうプログラムなのだと彼女は言った。
異分子である自分を排除するために、世界は運命をも変えてでも自分を消そうとする、と。
それすらも運命は変わってはいけないから、私は動くしかないんだと。
すべてを知った彼女を消そうとする世界が、決まっている運命から逸れようとする世界を彼女が消さないために。

だったら、だったら、ねぇ。


「……あ、あの…」

「………」


強く全身を打つ雨が鬱陶しかった。彼女の声が、半分掻き消されてよく聞こえない。
ちがう、聞きたくないんだ。そんなことば。


「…ねぇ」


誰よりも孤独なきみ。
みんなの輪のなかにいるのにいないきみ。
こころはどこかとおくの、蚊帳の外のきみ。
いるようでいないきみ。

てのとどかない、きみ。


「だったら…、」


いくら近付こうとしても、全然追いつけない、傍にいるのにちがうきみ。
なんでそう思うんだ?迷惑だと思うんだ?僕はきみのこと、これっぽっちも迷惑だなんて、(…きみがいうなら、これすらも)


「……僕のこのきもちも、きみのいう…プログラムだっていうのかい?」

「…っ!」


きみのことを迷惑だと思わないのも、仲間だと思うのも、支えてあげたいって思うのもぜんぶぜんぶぜんぶ。

(まるで預言のように、)


「僕が、…きみをすきだと感じるのも、ぜんぶぜんぶ」


きみのためにないてあげることさえ、――だっていうのかい?


***********
某相互さんの連載をやっとこさ読み終えて、彼女とうちの息子があの連載の中にいたら、設定。もし連載の真っ只中にいたら、結構切ないふたりだな、と気付いたっていう。
2009/07/04 (Sat) 10:35



後ろにいない
ちょこまかと後ろをついてまわる足音がないことに、違和感を覚えて、帰宅したときに、おかえりのお出迎えがないことにぽかんとして。
早く元気になって、戻ってこないかなあって。

愛犬がヘルニアで手術しました。
手術後の傷口が生々しくて、痛そうで泣きたくなりました。
元気に走り回ってる姿を早く見たいです。
2009/06/25 (Thu) 16:37


がんばるきみへ
「ねーえ、おっさん暇だなー」
「…」

「あ、じゃあ息抜きにお茶でもしよっか?」
「……」

「……最近出来た新しいお店のケーキもあるんだけど、」
「…………ケーキ?」
(お、反応した)


「そ。おっさんはいらないけど、勉強するんなら糖分摂らないとねー」
「……いい。後でに、する」
「根詰めたって、頭に入るもんも入らなくなるわよー?さっきからずうっと教科書と睨み合いっこでしょ?ほらほら、息抜き息抜き。はい、ケーキ」


「……っ」


「いらないの?」
「…いる、けど今は…」
「はいはい、休憩って言ったらきゅうけーい」
「ちょ!なにすんのよおっさん、放して!」
「教科書没収ぅー」
「あ!返せ、返せってば!レイヴン!」


「たくさーん勉強、してたっしょ?おっさん知ってんだから」
「…………だめだよ、見落としてるところあるかもしれないし…覚えきれてない単語だって…」
「大丈夫よ、だいじょうぶ」


「え?」


「みんなの知らないところで、努力してるのも知ってんだから。嬢ちゃんやれば出来る子なんだし」

「………」

「だから、はい。ケーキ」
「……いただき、ます」


************
以前旦那に投下したおっさん励ましネタメール。
日付変わったんで…昨日夜に親友と両親に、今現在私が思うところを相談してこれからのことを考えてちょっと胸が痛くなったので。
世の中のおっさんスキーだけに限らず、頑張る皆様こと嬢ちゃんたちへ。そして、自分へ。

人知れず努力してるのだって知ってるよ。
わたしはそう言ってくれるひと、傍にはいないけど。
おっさん知ってるよ。案外脆いとことか意地っ張りなんだとか、本当はすっごくそこら辺の女の子よりよっぽど女の子らしいんだとか。

……馬鹿。
2009/06/17 (Wed) 0:55


おれの名を紡いで
「ちょっと蓮火!蓮火!!」

きれいに揃えられた庭園。その庭園の広場で木刀を握る俺の名を呼ぶ母の声が聞こえた。振り向けば、ゆるく波打つブラウンの髪を揺らしておれをきつく見る母の顔。

「…なに、母上」
「なにじゃありません!明日の祝いパーティの服装を……あなた、また剣など振っていたの」
「明日の兄貴の研究所勤務奉祝パーティの服装なら、もう決めてるよ」

そう言って母から視線を離し、素振りを再開すれば母がぽつりと呟いた。

「…そんな野蛮な物さっさと捨てて、あなたも魔科学研究所へ就くために少しは勉学に励んだらどうなの」
「学校での成績は全て修めたし、特別魔科学教師からの勉強の時間だってちゃんと受けてる」
「ミサキ家は代々優秀な学者を輩出している家系です。そんなミサキ家から優秀な騎士が出せるとは到底思えないのよ。お父様だって仰っているでしょう」

母が昔から騎士を嫌っているのは知っていた。いや、騎士が嫌いなのではない。剣などという物を振り回して、命をかけることが馬鹿馬鹿しいのだと母は俺が小さい時から言っていた。知識を駆使して業績を上げる、魔科学の方がいくらも魅力的だと。

「……」
「…よろしいですね?」

母上にそう念を押されて、俺は素振りをしていた手を止めて、母の顔を見ずに口を開いた。足を屋敷へ向けた母へ、俺が決めたこと。

「母上」
「……なにかしら」
「二十歳になったら、この屋敷をでます」
「……あなた、「俺は……私はあなたの期待に応えられそうにない」
「………」
「けれど、ミサキ家の名に恥じぬよう生きるつもりでいます」
「…呆れたこと」
「……」

結局顔を見て言うことはできなかった。離れていく足音に、晴れわたった空を見上げて、やっぱりぽつりと。

「知ってる、わかってる…兄貴の仕事の都合で、パーティを明日にしか出来ないのは」

わかってるよ、でも最後に名前くらいは呼んで欲しかったな。


「さよなら、母さん」


おれは明日、二十歳になる。



*********
蓮火が騎士団に入る前のお話。両親との確執は拭えないまま、家を去った。蓮火の若い頃の設定をリアタイに投下してみる。
2009/06/11 (Thu) 17:43


馬鹿ね、馬鹿
欲張らなければ前のままの関係でいられたのに、欲張ったわたしは本当に馬鹿。
泣きを見るくらいなら、最初からなにも望まなければいいのに。

「君が意地っ張りなのも、実は脆いのも知ってるよ」

帰ってきたあなたはわたしにそう言った。だからって今までこうやって生きてきたのに、今更どうやって生きればいいっていうの?
あまえたらいいじゃん、なんて簡単に言ってくれる。三年前、わたしをそういう風にみれないと言ったあなたが。


ばいばい、ばいばい。何度も封印しようと思ったし何度封印できなかったか。

さみしいと嘆くわたしとは、さよならしたいのに出来ないまま。
2009/06/09 (Tue) 18:52


わすれてしまって
「昨日の夜に言ったことは、ぜんぶわすれて」



「なんで?」
「あれは、その、魔が差したっていうか、ちょっと気分が酔ってて、あんたの言う言葉にいちいち反応してたってだけで、つまりは、その…ああもう!とにかく昨日のあれはぜんぶわすれて」

何かの気紛れだった、と彼女は言った。弱音を吐いて、自分は面倒だと、さみしいと、あいがほしいだと明け方近くにおんならしいことを言った彼女は、何かの気紛れだったと言った。

「お願いだから、わすれて」
「……」
「あなたに応えられるわけがなかった。わたしの戯言の囁きなど、さっさとわすれてしまって」

そんな、そんな勝手なこと。

「無理でしょ」
「え?」
「忘れられるわけ、ねえでしょ」
「…っいいの、わすれて!」
「あいしてるぜ」
「―…っ!」
「俺にそう言って欲しかったんじゃねえの?」
「…そうよ、そう。だけどあなたの言う意味と私が欲している意味はちがうの。だからいいの、あなたには応えられるわけがなかったんだから」
「だれが決めたんだよそれ」
「お願いだから遊びならよして」
「あいしてるぜ」


だきしめたおんなは下唇を噛み締めていて、なみだを流しながらこう言った。

わたしだけあいしてと。

2009/06/09 (Tue) 12:07


意味がない
あなたにすきって言っても意味がない。そんなのわかりきってる。
でも、嘘でもいいから聞いてみたいのよ。
さみしい夜を紛らす馬鹿げた戯言に付き合ってくれる囁きを。

「あいしてるぜ」

すきよ、すき。
意味のないことなど、わかりきっているけれど。
2009/06/09 (Tue) 8:57


わすれてたの、
たくさんの決まりごとがある世界で、わたしはその決まりごとに囚われてわすれていたの。
愚かな人間になっていた。

わたしはわたし。


たくさんの決まりごとがある世界で、わたしの望むような世界でないのなら、
(いつかの仲間と作った作品の中の彼が言った、)

「なら、君は描けばいい」

君の望む世界を、絵にすればいい、と。


「ほんとうに、にんげんはおろかだね」


ぞくりとした。
泣きそうになった。
あきれた。

(ああ、わたしはなんておろかなの)

自分の中の世界を狭くして、自分をくるしめていたのは自分なのに。

空が青だと、だれがきめたの?(緑でも構わない)
お茶が砂なのは、おかしい?(お茶が砂でなにがわるい)



わすれないよ、

(わすれていた、わすれてしまっていた)

こんな素敵なゆめ、はじめてみたから。

(わたしもゆめであなたにあったのだとしたら)


きっと君は忘れる。

(ごめんなさい、ごめんなさい)

これは、ゆめだから。

(いまも鮮明におぼえてる、だってあなたはかなしそうな顔を確かにした)




今度ゆめで逢ったら、次はきちんとしたおもてなしで(さすがにお茶がまた砂なのはつらいけど)、あなたとゆっくりお話がしたいわ。
わたしはあなたのいったように、えがいていくから。


(きょうの空はなにいろかしら?)
2009/06/04 (Thu) 0:57


なにがしたいの!
ポートフォリオ制作の時間が嫌です。
死んじゃうーorz

あー…わたしなにがしたいの!
2009/06/02 (Tue) 18:26


明日やだよー
ポートフォリオ制作の授業が明日あるよー。
やだよーポートフォリオやだよー。なんにも案が浮かばないまま三時間も教室こもるなんてやだよー。
うう、明日来ないで明日来ないで。

こわいこわい。
高校のとき、あれだけペンを持った手が止まるのが怖かったのに、今じゃまるで動かない。
わたしのやりたいこと?

わたしはなんでもいいから、絵を描いてたいの。
2009/06/01 (Mon) 23:52



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