この間、友達と呑んで終電で帰って来た。
私は自転車を、とあるビルの敷地内に停めているのだが、そこはそのビルのエレベータの扉の向かい側に位置する。
いつものように鍵を解除し、自転車を押しながらビルの敷地内から出ようとしたその時。
「ブシューーーーゥゥ!」
「アハハハ、アハッ」
なんと、エレベータから降りたらしき男が、消火器を辺りにまき散らし始めたのである。
その男は、明らかに酔っており、笑いながら前進してくる。
「このままでは、全身真っ白にされてしまう!あぁでも、消化剤って多少ピンク色なんだ」と、急ぐ自分と冷静な自分が頭の中で騒いでいる。
そそくさと敷地内を出て、しばらく進んだ。
「なにアレ」
「火事?」
道にたむろしている若者が深刻そうに会話しているのを、すれ違いながら聞いた。
でも火事だったなら、ビルから煙が出ているはずだ。全く出ていない。
おかしいのは彼だ。彼の着ていた服の左袖はやぶけていたし。
ようやく現場から離れ、後ろを振り返ってみると、ビル周辺に消化剤が立ちのぼっていた。
翌日、そのビルの関係者に聞いてみたところ、
「あたし、遅番だったからわかんない」
とのがっかりな返答を頂いた。
そうじするの大変だったと思うんだけど。