チャンカーはマリオン


 ●●●  9月12日月曜雨
朝から雨。Tシャツに半袖開襟シャツの重ね着でも肌寒く、長袖姿が目立つ。
マリオンは朝から熱があり一日中38度を上がったり下がったり。そんな状況下、胸部のレントゲンと像影剤を使った腸のレントゲンと二度の車イス移動があった。マリオンは首への点滴や、鼻や各部からの管を付け人前に出るのだ。それは 一人の女性として耐えがたいストレスになっているのではと僕は推測する。現状での見舞いも親族以外は嫌がっている事で察せられる。
レントゲンの結果は、昨日と同じ「大きな問題は無く、順調に腸が動いてくれれば来週から食事を始められる」らしい。 そんな嬉しい知らせにも、熱で朦朧としたマリオンには上の空。 さしあたって明日あたり鼻の管が取れるようだ。 今日は朝の歩行訓練だけだった。 半眼で虚ろとしたマリオンが眠気を促す点滴を受けた消灯寸前に僕は退室。
ファミリーハウスへの帰り道、都会の夜の雨雲は赤いのだ、と思い出した。
2004/09/13 (Mon) 22:55

 ●●●  9月12日日曜晴れ
九月も半場、暑〜いとは言わないが、気温は高めに経過している。 しかし甘いオンコの実は生っていた。札幌の倒木した街路樹は、切り刻まれ回収されて行き景色がどことなく殺風景に思える。
マリオンは相変わらず鼻から管を通され辛そうで おまけに熱まであるのに、日に三度の歩行訓練はこなしている。これはエライ!!! 点滴を下げたキャスター付き棒につかまり看護婦さんに付き添われヨチヨチ歩く姿が一生懸命で手助けしたいが、気持ちを抑え、遠目に心の中で応援する。 お腹の動きもスローながら向上している模様。 僕が珊内に帰る17日までには せめておも湯が食べれるくらいになって欲しい。でなきゃ安心して珊内には戻れない。 本当のところは一人で歩行できるまでは付き添いたいが、元々苦しい我が家の家計。これ以上仕事を休むのは死活問題。 生活保護も目の前にぶら下がっている。 しかし僕はどーあってもマリオンを守るつもりなので、付き添う事が回復の道なら、仕事を休んで借金してでも付き添うつもりなのだ。
2004/09/13 (Mon) 0:47

 ●●●  9月11日土曜晴れ
今朝は半袖では肌寒かった。これが平年並だと思う。マリオンは昨日とは違い目に落ち着きがあり声も出ていた。 今日マリオンの付き添いは午前中までで午後から札幌の友人と珊内視察へ行く事になっていたので少しは安心して出かけられる。 12日ぶりの珊内、まずは《かもい》の被害状況を見る。写真では、なんだか角の一部がレンガ造りになってるように見えるが、壁のモルタルが剥がれ落ち一部窓が崩れ落ちたのを村の人がトタンで塞ぐ応急処置をしてくれていた。 とりあえず我々は崩れ落ちた部分にブルーシートで禿げ隠し程度の処置しか出来なかった。
我が家は幸いな事に、以前玄関前にあったサイレン小屋が吹っ飛んで消えていた・物干しが倒れていた・煙突の先が飛ばされ落ちていた・台所の外窓(北海道や北国では窓が二重になっている)のガラスが割れていた程度で済んでいた。
しかし西積丹の海側に面する山々の草木は全て飛んだ汐で枯れている。この様でどれだけ海が吹き荒れたかが想像がついた。 我が家の修復は、マリオンが落ち着き、僕が珊内に帰って来てからだ。 日も暮れ手元が見えなくなった18時半頃かもいの処置作業を切り上げ片付け、小樽で飯を食い札幌に帰り着いたのは22時半。 マリオンが気になりながらも、もう面会はできない時間で諦める。 道中100円ショップで指圧棒を買ったので明日からマリオンの足裏指圧はこれだ。
2004/09/12 (Sun) 2:01

 ●●●  9月10日金曜雨後晴れ
今日になって神恵内の台風被害が新聞に載る。やはり僻地の情報は遅れるのだと感じ取る。 大森大橋が崩壊した事で岩内への買い出しどころか今後昼のバイトに通えない事、眼科や倶知安の病院に通院できない事等々 我が家の生活に及ぼす影響は計り知れず! 報道によれば復旧の目処は立たないらしい。我が家の生活はいったいどーなる!?
鼻から腸へ管を通されたマリオン。今日は朝から活気が見られず見舞う僕まで辛くなる。だがそんな顔は見せられない。僕は自分を奮起させてマリオンの足裏指圧に励む。 ただ心配だったのは空(くう)の一点を見つめるマリオンの目つきだ。心配で幻覚・幻聴は無いか尋ねたが、無いとの返答にまぁ一安心。 夕方にマリオン姉夫婦とお子さんが見舞いに来てくれた。その日初めてと思えるマリオンの笑顔が見えた。その後は目つきも表情も落ち着いてきた。僕も嬉しい。
明日は昼から日帰りで珊内に戻る。 ようやく珊内だよりらしい記事が載せられるだろう。
2004/09/11 (Sat) 8:58

 ●●●  9月9日木曜晴れ
先ほどTVのニュースで、我僻地が台風で甚大な被害を受けとんでもない状態の映像を見た! 以前 何度か珊内だよりの記事に載せた大森大橋が崩壊し家屋も数件崩壊していた。 これは一大事だ。とりあえず11日の土曜に日帰りで僻地に戻る予定。大森大橋が崩壊したら毎週岩内への買い出しが不可能になる。あの分じゃ年内の復旧は無理だろう。我が家も心配だ。スーはどうしてるだろう? 珊内だよりと銘打ちながら、こんな大変な状況を報告できない事をお詫びします。
今日のマリオンですが、午前中、看護婦さんの計らいで僕の運転でマリオンを車イスに乗せ散歩。台風一過の被害後を見せようとチョットだけ外の風に当たりに。 これがいけなかった。マリオンは言葉無く涙を流した。思うに、入院前と変わらぬ外界に自分の状況を悲観したのだろう。僕の軽率な行動を反省。心配で精神科の先生に来てもらい事情を話す。先生から「ご主人が外に連れ出した行動は反省するような事ではありませんよ」と僕まで諭される始末。 そして午後、やはりお腹の働きが悪く結局 鼻から腸への太い管を入れられた。これが回復への道なのだが、本人には後退と感じられるのだろう、すっかり意気消沈。僕にできる事は昨夜ネットで調べた足裏の腸に効くツボをひたすら指圧してやるくらいの事だった。
2004/09/10 (Fri) 5:13

 ●●●  9月7日火曜曇後雨
朝からどんよりとした空は、昼あたりから台風18号の影響なのか風が強まり雨になった。 昼 札幌の友人に頼んでいた物を受け取るために会う。 彼はマリオンを心配してくれつつも、自分のキ○玉が拳大に肥大した事を告白、「オレはこれで終わりなんだよ。人生50年悔い無しさ」と宣う。 僕は病院に行く事を強く説得しながらもマリオンが気にかかり15分程の立ち話で別れた。キ○玉がズボンに納まるうちに医者にかかってもらいたい。 マリオンは今日も放屁に至らなかった。 まだお腹がうまく働かないようだ。明日のレントゲンの結果次第では再び鼻から管を通す事になる。 あれは本人には地獄の苦しみだろう。見る側にも痛ましい様相なのだ。  マリオンは午前中は虚ろな目で過ごしているが、夕方あたりからの目は生き生きしている事が多い。 放屁はならなかったが、歩行練習は順調と言えるだろう。 夜の洗顔では、洗面所からベッドまでほんの2メートル程だが、看護師の補助無しで歩いた。 僕は昨日までの休暇を9日まで延ばし、マリオンの状態を考えて今日思いきって17日までの休暇延長を職場の
上司に申し出た。多分了解してもらえたと思うが、帰ったらクビかなぁ? クビがつながったとしても今月の給料は雀の涙だろう。しかしマリオンをこのままの状態で僻地に戻る訳にはいかない。とにかく今夜はマリオンのお腹がうまく働くよう念じて過ごす事にする。
2004/09/08 (Wed) 0:11

 ●●●  9月6日月曜 曇り一時小
曇り空のせいもあり結構涼しい一日だった。 しかし僕が持っている9月の北海道は もっと肌寒いのだが・・・ 本日 マリオンは午前と午後の二回レントゲン撮影のため車椅子で移動した。 看護師さんと僕とでエレベータに乗せ、人の隙間を縫い一階のレントゲン部までコントロール。 マリオンには久々の外界を見る事になった。 レントゲンの結果、お腹の動きがまだ鈍くガスが溜っているので 明日再び鼻からチューブを通すかも、と医師から言われてマリオンはガッカリ。 実は 我が家では放屁自由主義を取っていて、僕に至っては病気か!というほど自由気ままにやらせていただいている。 なんせ、昔 一緒に暮らして居た女性が逃げた理由の大きなひとつだった程。 マリオンにおいても わりと自由にしてたのだが、こんな大事な場面で遠慮するとは何事だ。 ここは一発 豪快にやってくれよ! 誰に気遣う必要は無いと 僕は手本に幾屁か放ってみせたが、マリオンからは音は聞けなかった。 明日は朝から放屁訓練をせぬば!!! そして復活するのだよ。
2004/09/06 (Mon) 23:02

 ●●●  9月5日日曜 晴れ
朝と言うより、午前中はTシャツ1枚では薄ら寒く感じたが、昼間は暑い。とは言え快適な気温。 本日のマリオンは一日で劇的に回復に向かった。 朝は まだグッタリ・モウロウとした状態が見え、午前中 歩行訓練へ向けての第一歩、ベッドから起き上がり立つ動作。 健康であれば何でも無い動作が、これが なかなか大変で上体を起こすに数分、さらに足を床に下ろすに数分、そこから立ち上がるにはかなり時間を要した気がする。 立ち上がるとたちまち貧血で訓練はそこまで。 しかし直ぐに横になれるわけじゃない。手術の傷口が痛むので、全てにおいてスローモーション。 この分ならリハビリの道程は長いと思ったのだが、午後の訓練では、始めて数日経ったかのような動きで、もちろん看護師さんの介助あっての事だが、数メートル歩行! やったぁ〜! でかしたぞ! それで少し自信がついたのか、今まで痛いとベッドの上で動かさなかった上体も自ら動かすようにトライするようになった。 夜には僕との会話も、いつも家で交すようなテンポに近づいた。
これからは日増しに、倍 倍で回復と願って、今日のところは消灯時間に僕はマリオンの病室を後にした。 明日の訓練の成果を楽しみにして。
2004/09/05 (Sun) 22:22

 ●●●  9月4日土曜 晴れ
マリオンの手術は予定を大幅に越え7時間以上かかった。 それはなぜか。 何事も蓋を開けてみないと分からない。 マリオンの状態は、予想を越えていて、急遽 外科担当に手術は移行されたのだ。 ガンは直腸に転移していて腸の切除が必要だった。 手術後、執刀医からも「予見を越えた状態だったので、我々も驚いてます」と。 初めからこの状態がわかっていたら、多分 手術はできなかったのかもしれない。 しかし 手術は施され切除した。 追加治療は必至。 昨夜はマリオンに付き添って一夜を過ごした。 今朝の爽やかすぎる空は、ちょっとキツイよ。
2004/09/04 (Sat) 8:35

 ●●●  9月3日金曜昼 晴れ
今日の札幌は晴天。気温は高く暑い。 珊内だよりなのに、今月はまだ珊内の様子を届けられない事をお詫びします。 マリオンは10時半過ぎ手術室へ入る。 多分 麻酔をかけ 今頃オペが開始されたと思われる。 オペは大掛りなものなので、かかる時間は3〜5時間と言われている。 今日は手術前からマリオン父とマリオン姉に駆け付けていただいた。 僕とマリオンは結婚して3年だが、マリオン姉とは初対面なのだ。 マリオンは元気に手術室に入って行ったが、寸前まで禁煙パイ○をくわえ余裕に見えた。 昨日から断食のマリオンは今まさに手術室で戦っているにも関わらず、僕は暑い日差しの下でざるそばと天丼セットの弁当をむさぼっているのだ。 申し訳ないと同時に自分が情けなく感じるのであった。 やっぱりざるそばは冷えてなきゃ不味いのだ。 手術後にまた報告する予定!
2004/09/03 (Fri) 12:46

total : 155582


<<PREV   HOME   NEXT>>