HCUの病室では、相変わらず人工呼吸器が異様なほど性格なリズムを刻んでいる。
ただ今朝までと大きく違うのは、SPO2の警報アラームがなりっぱなしになってることと、血圧計の値が常時「測定不能」になってること。
「お母ちゃん…ようがんばってくれたねぇ…もうえいで…ほんまにもう十分やき…この一週間の間にお母ちゃんが僕らに伝えたかったことも十分解ったき…だからもう楽になってや…もうほんまに十分やき…ありがとう…ほんまにありがとうお母ちゃん」・・・・・。
ぷるるるるるるる〜
心電計がフラットになったことを示すアラームが鳴り、担当してくださったM医師が来てくださった。
ぴっ‥ぴっ‥ぴっぷるるるるるるる〜ぴっ‥ぴっ‥ぴっ・・・・・
「もうポンプ作用は全く果たしてないものの心筋が僅かにぴくぴく収縮していることによる振れが出ています。
それもだんだんと少なくなって、やがて完全にフラットになると思います。
だけどこのままもう少し見守りましょう」。
それから大方20分余りも、M医師は静かにお袋を診ていてくださった。
そんな心筋の小さな収縮でさえも、ちゃんと規則的なリズムを刻もうとしていることに、人間の、いやお袋の命の証を見たようで、生きようとする強い思いに改めて触れたようで、胸の深いところから涙が込み上げてくるのを抑えられなかった。
ぷるるるるるるるる〜〜〜。
・・・・・。
「お母様はほんとによくがんばられました……10時10分、大変残念ですが、ご臨終です……せっかくここに来ていただいたのにお救いできなくて……!!」
おそらく姉に連絡をしたのだと思うけど、なぜかその後の記憶がほとんど無い。
昼前に迎えに来てくれた葬儀社の車で、お袋と二人、姉たちの待つ宿毛の実家に向かった。
車中ではずっと、寝ているお袋の肩をとんとんしながら、好きだった歌を歌って過ごした。
お母ちゃん、長い間本当にご苦労様でした。