今日(月曜日)は予想通り風が強かった!!
昨夜は久々にその日の内にベッドに入ったけど、1時間も経たない内に寝苦しくて目が覚めた。
そして家中の窓という窓をフルオープンすると、心地良く乾いた風が北から南へ吹き抜けた。
雨で潤された地面からは埃も立たず、なんだかとってもピュアな『空気』だけが流れ込んでくるようで……
そんなイメージで心いっぱいに深呼吸してる内に、不覚にも深い眠りの淵に落ちていった。
がたん!!
あまり聞いたことのない種類の音に飛び起きた。
一瞬何が起こったか解らなかったけど、少し冷静になってみると、窓から吹き込んだ強い突風で、窓際の小さなテレビがずれた音だった!!
「午前2時22分です」……
音声腕時計の声に「久々にぞろ目か〜!」などとしょうもないため息をつきながら、再び眠りの中へ!!
結局朝まで全ての窓を全開にしたままだった( ・o・)
2月21日(土曜日)、思いがけず雪の露天風呂に入れて上機嫌の僕は、お蕎麦屋さんに向かう車の中でも、1人でわいわいしゃべってたような気がする(^^ゞ
松永さんお薦めの店『むか井(岡山県久米郡久米南町塩之内937 tel:0867-28-3035)』は、津山からルート53号を岡山市方面へと南進、久米南町(くめなんちょう)の二股池(ふたまたいけ)というため池の近くに在った。
長屋門(昔は上に人が住んでいた)をくぐって前庭を通り立派な民家様の建物の中へ。
玄関から座敷に入った瞬間「うわ〜!」ってみんなの歓声!!
座布団に座って軽く手を伸ばすと、見えない僕にもそれと解る大きくて分厚い一枚板の立派な飯台!!
それは栃の木でできてるらしく、思いっきり持ち上げてみたけどびくとも動かない!!
窓から見える庭には大きな松の木、その枝振りは見事なもので、端から端までは20mはあるだろうか!!
またまた僕の好奇心がむずむずと起き出して、部屋中をぐるぐると歩き回りながら上から下まで触る触る!!
部屋を隔てる鴨居には長押が在り、その上には見事な彫刻が施された欄間!!
後で伺ってみると、人間国宝級の方の作品らしい!!
そして壁には書院造りの特徴の1つである違い棚!!
それらを感動しながら触ってる内に、この屋の女将さんが蕎麦茶を持って来てくださった。
とっても綺麗な日本語を話される極めて上品なこの女将さんは、東京からこの地に嫁いで来られたとのこと。
「僕は女将さんの大ファンです」と、奥様の前で公言して憚らない松永さんの気持ちが分かる気がする☆
そして蕎麦茶の入った器を手にした僕は、またまた驚き固まった。
「おかみさん、この焼き物は??!!」
それまでにも飯台や欄間のことで根ほり葉ほり訊いてた僕に、女将さんは一瞬の間を置いて……
「ま〜! そこまで〜……!! 実はこれは信楽なんですけど、これも少々名の有る作家の作品なんですよ!!」
手にした瞬間のしっとりと馴染む感じ、軽〜くつま先で触れた時の軟らか〜い音!!
ただ者でないことは僕にも十分解った。
そして女将さんが部屋を出られてしばらく談笑していると、再び静かな足音。
「今日は松永さんの大切なお友達の皆さんにどうしても召し上がっていただきたくて、佐賀県から『呉豆腐(ごどうふ)(字は定かでない)』を取り寄せたのですが到着までに30分ほど掛かるようなので、大変申し訳ございませんが今しばらくお待ちくださいませ」と低調に頭を下げられる女将さん!!
そして早速前菜から順次料理が配られ始めた。
酢物はまろやかに爽やかに、煮物は素材の風味を損ねず穏やかに……!!
しかもその素材の1つ1つが、例えば「春の先取りの竹の子でございます」「今朝1つだけ見付けた蕗の薹でございます」・・・・・etc.
とにかく心が篭もってる!!
それらを感動しながらいただいてると「お待たせしました〜!」と玄関に宅配便のお兄さんの声!!
すると今まで決して聴けなかった女将さんのちょっと弾けた声♪♪
「あーよかった! やっと着きましたよ!!」と料理を作るご主人のもとへ小走りに(^^)
そして登場した呉豆腐は、なんでも呉の国から伝わったとのこと!!
ワラビ餅よりは餅に近い食感のそれを特性の胡麻だれでいただく!!
噛むほどに大豆の風味が口に広がり、それが胡麻だれの旨味と渾然一体となって、これがまたなかなかの絶品!!☆
女将さんが「どうしても召し上がっていただきたくて…」と言われたのも納得!!
またまた得した気分になった(^^)
そういえば天ぷらの油も胡麻油だったけど、ここは料理全般に胡麻の風味をとにかく上手に使ってる!!
そしていよいよメインの蕎麦!!
そもそも松永さんは「この店の雰囲気を味わってほしくて…」ということでここに連れて来てくださったのだし、それまでのモロモロの体験で、僕のこの店に対する満足度はもう十分に高まっていた。
そしてその時点ですでにそこまで満たされていた僕は、蕎麦に関しては出汁も含めてかなりのレベルの物を食べてきてるという自負もあって、「まぁそれなりには美味いんだろうな…」くらいの期待度で、後に僕を驚嘆させることになるその蕎麦の登場を待っていた。
「大変お待たせいたしました。 蕎麦でございます。 蕎麦だけは皆さんの前に揃うのをお待ちにならずに、どうぞ順次お召し上がりくださいませ。」
女将さんの言葉は、軟らかいながら自信に満ちて凛とした響きだった。
僕は思わず座り直してから、巻き簀の上に盛られた蕎麦を数筋箸に取り、出汁に浸けて口へ運んだ。
・・・・・。
まず感じたのは腰の強さ!!
次の盛りを持って入ってきた女将さんに「こっこれって10割ですよね!! 何処の粉ですか??」と矢継ぎ早に尋ねる僕に、
穏やかな笑みを浮かべた声で「はい、今日は茨城県太子町の粉で、もちろん蕎麦粉10割でございます。 昨夜私が石臼で挽かせていただきました。」と答えてくれる!!
「蕎麦粉10割で、ここまで細く滑らかでしっかりした麺になるような粉を石臼で挽くって……!!」( ・_・;)
「ありがとうございます。 今でも毎日が勉強なんですよ」!!
ほんとに頭の下がる思いだった。
そして次に感じた出汁の味!!
とてもまろやかなつゆでありながら、しっかりした出汁の風味が凝縮してる!!
かえしへのこだわりはもちろん、これはミリンも当然醸造用アルコールなど使っていないこだわりのミリンなんだろうと容易に想像できたけど、さすがの僕もこれ以上ゴチャゴチャと質問するのはまずいだろうと思って遠慮した。
そしてみんなの感嘆の声を聴きながら、松永さんの心中を思うと思わず嬉し涙が零れそうになった。
蕎麦打ち名人のTご夫妻にどうしても食べてもらいたくて、無理を言って1kg譲っていただいた蕎麦粉は、後で計ってみると1.2kg有ったとのこと!!
そしてその粉で打った蕎麦を食したT夫人から「石臼でここまでの粉を挽くには相当な手間が掛かるはず! 香りも甘味も素晴らしいですね!」という嬉しいメールをいただいた。
なおこの『むか井』は、要予約制で、二部屋しか無いので大人数は不可(夜は例え2人でも一組しか取らない)。
屋内は全て禁煙で、小さな子供の来店も不可。
料理の味を左右する香りや、それを楽しむための音のシチュエーションにまでとことんこだわってるところに、本物の職人気質を感じる。
絶対にまた行くぞ(^_^)V
紹介してくださった松永ご夫妻、そしてあの幸せな時間を僕と共有し、目一杯増幅してくださったキヨミさん・マナブさん・マユミさん・シュウちゃん♪♪
本当にありがとうございました。