秋夜。暗闇。雨。静けさ。月。星。コンクリの冷たい場所に身をすくめて。姿を消す。無になってしまう。目を瞑る。胸に、死んだ星。黒い穴。底が無い。冷めて。高い空。世界の空虚な広さを想う。遠くで車のライト。過ぎ行く。誰も、見ないでくれ。視界に、入らないでくれ。驚かさないでいてくれ。居てくれ…。ひとりじゃないのは分かってる。死にたい気持ちも、本物じゃないのは分かってる。大丈夫。生きれる。夢ではない。しばらくの間、眠ろう…。大丈夫、まだ死なない。

死にやしないさ。言葉じゃ10も語れない。人間だものbyみつを。なんて言ってみたりする。頭が回らなくて思考が濁る。ぼーっとしてどうしようもない。自分の身体の変化に過敏になって。めんどくさい。感覚が鈍る。感情も同じく。視界には悲しみだけが残留して、それが何に対するものかも分からない。頑張れよとかちょっと休めよとか聞こえる。判断力はほぼ無い。やりたいことを、しようか。こんな日は…。

死を待て。死を…。奴等はみんなストックホルム症候群。揺られながらの安定。わけの分からなくなったアタマで。神の存在に気付く。いつかはきっと、終わるから。苦しみも悲しみも。暗闇も。呼吸も。レクイエムが夜空に響く。チリチリと音を立て燃えて行く生命線。潔く尽きればいい…。もう何も残さないから、存在が土に返る。静かな秋の空に霧散する。

前を向きたきゃ向けばいい。後ろを向きたきゃ向けばいい。前進したきゃすればいい。立止まりたきゃ立止まりゃいい。閉ざしたければ閉ざしゃいい。開きたければ開きゃいい。世界はこんなにも自由だ。

あの映画を見た直後のような。現実への違和感。何回もリピートして聞いた曲に共感し過ぎてしまって。頭がおかしくなるような。どっちがリアルか分からなくなる感覚。今にも空が裂けて。そこから大きなネズミが顔を出すだろう。私が前進しているのではなく。景色が後退していると捕らえて。自分は昔っから同じ場所を一歩たりとも動いてないのだよ。