技術があっても才能がなけりゃなんの役にも立たないね。

海の水は月に引っ張られて。地球の表面を移動すると言うじゃないか。朝。へどろまみれの川に掛かった橋を歩く。河原を見たけど水は極限くらいまでに引いていた。泥に埋もれた自転車がむき出しになって。月は。何処へ行ったのか。大量の水を引き連れて。未だ地球の周りを馬鹿のように回り続けているのか。それとも。もう月は何処にもいないのか。

周りの他人が皆気違いに見える。知的障害者。でも多分その中で一番気違いなのは。紛れも無く私だと思う。

先週貰った安定剤やら抗鬱剤やらのおかげで割りと気分がいい。いきぐるしさも無くなったし。胸痛もしなくなった。血の気が引くようなあのヒヤリというやな感覚も無くなった。ついでに頭痛薬も貰っといたから実技に集中出来る。講師の人とも多少はまともに会話出来るようになった。朝の怠さはまだ有るけど。薬のおかげか部屋から出るのがそこまで嫌では無くなった。ずっとこの調子ならいいけど。

私、生まれた時から思ってたんです。私はなぜ生まれたのかって。生まれた時から今の今まで。ずっと考えてたんです何で生きているのかって。答えなんか少しも出ません。知識を増やせば増やす程。死ぬ事のほうがよっぽど意味があるという結果に行き着くんです。結局生きること自体に意味は有りませんでした。もちろん生まれたことにも。要するに死ぬことに意味があったんです。私は意味も無く生まれて、意味も無く生きて。最後に死んでやっと意味を成せたという事なんです。つまり私は死ぬために生まれて。死ぬために生きてるんです。