「ほんとは理由もなく好きになるっていうのはダメなんですけどね。キャラクター上は。思い入れがないとインパクトが弱いじゃないですか。なんでこんなクズが好きなんだろ?って疑問に思っちゃうし、キャラとしてありきたりだなあ…って思われて終わっちゃうじゃないですか。でももうそういうのいちいち考えんの良くないと思うんですよ。エマちゃんはフリッカが好き。それはそれでいいじゃないかと」
「まあ理由はちゃんとありますよ。オーキッドとフリィークスの代からね。でも本当にエマちゃんがそれを理解しているのかと。してませんよ。知らないんだから。もちろんフリッカロッタも。彼女訳もわからずほっとけなくてそばにいるんですよ。かわいいじゃないですか。かわいいんですよ。かわいけりゃあなんでもいいんですよ」
「それにね、エマちゃんとフリッカはすきでいる理由がなくたって、一緒にいるのが大事なんだってお互い解ってるってのが大事なんですよ。こいつが何者なのか、何故こいつが好きなのか、わからないけどそれでもそばにいるのが大事。もともとエマちゃんはフリッカのことをろくに知らない。フリッカロッタにはアイデンティティーが無いから、彼がいったい何者かという疑問をたたきつけられた時に、エマちゃんの葛藤は始まるわけです。何故自分は彼に恋をしたのか? 何故彼じゃなきゃダメなのか? それでも彼を好きでいるその理由は? ああ〜。ほらね。可能世界と宿命論のよくある純愛モノじゃあないですか。元をほじくり返してストーリーを単純化すればね。よくあるパターンの一つ。乱暴に言えば、ある意味一種のテンプレートに乗っかっているわけですよ。フリッカロッタとエマージェンシープログラムは」
「とにかく好きなんですよ。意味もわからず。此処が大事。とにかく好きなんです。どうしようもないことなんです。この世が予定説で動いているのかどうか、ルターがはっきりした証明を残さなかったから、二人は今も苦しんでるわけです」