意外と睫毛が長いのは、知っている。
化学の授業で教室移動の時、サンジがトイレに行って教室に戻ったら、ゾロだけが残っていた。てめェだけだと絶対授業に間にあわねェから待ってろ、と言ったら文句を返してきたくせに、ちゃんと待っていたのだ。3分も経っていないのに、ゾロは腕組みをして顔を上げたまま、居眠りをしていた。すぐに起こそうとして、気付いた。窓から入る日の光が、ゾロの目の下に睫毛の影を落とす、その長さに。
今ゾロは目を開き、まっすぐにサンジを見ている。長い睫毛をじっと見れば、ゾロもサンジの目を見る。サンジが困った顔をすればゾロも困り、サンジが笑えば、笑い返す。
なァ、じゃあさ、おれがちゅーしてェって思ったら、お前も思うか?おれにちゅーしたいって。
そっと近付けば、ゾロからも近付いてくる。
そっと唇を触れる。ゾロも、触れる。
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ゾロの家の洗面所で、サンジは目を閉じて鏡にキスをしていた。試験勉強の合間、トイレに行ったはずが、何をやってるんだか。アホだな、とゾロは思う。それなのに声をかけられないのは、女子にデレデレとするいつものアホ面ではないからだ。
なんでお前は、そんなに真剣な顔で。そんなに無防備に。
「……ろ、」
小さく漏れた、たった1文字。その意味を問う問題なら、試してみてェ。
鏡ごし、てめェの向こうにいるのは、──なァ、合ってんだろ?
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調子にのった。


