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昨日から今日にかけてマリオン姉が付きっきりで付き添いをしてくれたので、僕は急ぎ必要な物を取りに珊内へ一時戻った。 マリオンの好きなドクター,ジョンを聴かせたいとCDを数枚持ってきたので早速枕もとでCDを鳴らす。アーティスト名にドクターとつくからには何らかの効果がある事を期待したい。 そんなわけで昨日の僕はマリオンの付き添い時間が本当に短かった。珊内では携帯が圏外という事と、一人で家に居るのが苦しくて苦しくて居たたまれなかったので急いで用をたし札幌へ引き返した。札幌に帰りついたのが夜10時半頃。数枚のCDとCDラジカセを持ってマリオン姉が付き添っているマリオンの病室へ急ぐ。今日から使い始めた新しい睡眠導入の点滴が効いてかよく寝ている。マリオン姉が「今日はゆっくり寝てください」と言ってくれるので、僕はウィークリーマンションへ戻った。しかし部屋に一人で居る事に落ち着けないのだ。息苦しさと不安と心細さ。脳みそが萎縮してしまい周りの全てが無機質で僕と大きな隔たりを作って遠ざかるような気持ちになった。 近くのホテルに泊まっていた弟を呼び出し僕の部屋で飲む。途中どうにもマリオンが気になり夜中3時頃マリオンの様子を見に行く。 病室に入るとマリオンは起きあがり詰まった痰をナースさんに吸引してもらった所だった。痰の吸引は鼻腔から管を入れるのだが、鼻管はマリオンにとって地獄の思いがある。去年の手術入院の際、腸閉塞を起こし太い管を鼻に入れられる事2回。お腹を切る手術と鼻管を比べても開腹を即答で選ぶくらいに鼻からの管に恐れを持っている。しかも今のマリオンは精神的にも衰弱しているからかなりの負担だっただろう。マリオンが落ち着くのを確認しマリオン姉に後をお願いして部屋に戻ってまた飲んだ。空も白んだ6時前、どうにか僕は眠気をもよおし弟はホテルへ戻る。 目覚めたのは昼前。5時間半は寝れた。また今日から毎晩マリオンの付き添いで頑張るのだ。 今日のマリオンは変わらず朦朧とした意識で時々言葉にならない声を発する。 2〜3日前まで一日にわずかながらまだ理解可能な言葉を吐いていたが、今日はまったく唸るだけのように聞こえる。しかし僕には、マリオンは言語能力に欠けてしまっただけで、感覚的には正常の状態より鋭くなっているように感じるのだ。だからマリオンの声は言葉としてとらえず、感覚的にとらえる必要があると思う。腎不全からの譫妄状態。それは傍目からの見解であり、本人は何を見て何を感じて何を発しているのかはわからないと思う。
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