19日に病院へ外出届けを出していたが、ステロイドの減薬に伴うリバウンドからか38度の熱を出してしまい、一時帰宅が叶わなかった。 僕の病室は6人部屋でほとんどが2〜3泊の検査入院や処置入院の患者。そんな短期入院であっても、奥さんや家族が付き添い見舞っている。そんな病室で僕は一人本を読んだりボンヤリ外を眺める。時々毬音の写真に見入り、盲腸で入院していた時のマリオンの見舞い姿を思い浮かべたり、マリオンが入院していた時の事を思い起こす。
何より不便なのは、何かが必要な時、自分が動かなければどうしようもないことだ。 病院側としては安静を守るためには家族に要を頼めと言うが、僕には無理な話である。
先日病院の風呂で80歳を過ぎているであろう老人と一緒に入浴していて話をした。彼も奥方を亡くされ「私の役目はもう終わったからねぇ。後は家内の許にいくだけですよ」と まるで僕の言葉を復唱してるかのような台詞を聞かされた。でも僕は「お子さんやお孫さんが居るんでしょ。だったらまだまだ役目は終わってませんよ」と返答した。足腰の弱っていた老人を一人風呂場に置いて出るわけにもいかないので、老人をサポートしながら一緒に風呂を出て部屋まで付いて行った。 その老人も今日、外出を予定していたらしく病衣を普段着に着替えていた。「外出ですか」とたずねると、「家に帰ってもひとり暮らしだから、一人での生活に少しでも慣れるようにしなければね」と言う。 老人の心中と状況が自分とダブってしまう。
僕も急ぎ家に帰ってみると、月命日に供えたチューリップがまだ枯れずに咲いていた。
老人の多い病棟で、僕の心中は彼らと同じ場所に居るかのように思えるのであった。
24か25日の検査で退院できるかもしれない。だとしてもしばらくは自宅療養になるだろう。







