皆さん、相変わらず僕は静かな病室に居ます。
外は雨が降ってるのかな??
見える人にとっては、広い窓ガラス越しの見晴らしはとても良いらしいのですが、ほんの10cmくらいしか窓が開かないし、たとえその僅かな隙間に顔を近づけても、更に外側にガラス張りの柵が在るらしく、視覚の無い僕には、外の様子はほとんど分かりません。
まぁ窓がフルオープンになったりすると、病気や使用薬剤によっては衝動的な行動を起こす患者が出ないとも限らないし、それは僕自身もステロイド剤のイタズラで実感として解ったので文句は言えません!!
それにしても、ほんとにここは世間とは掛け離れて静かな所です。
外海が大変な大時化でも全く波立つこともない内海……
なんていうか、幾重もの堤防に囲まれた奥深い湾内に造られた最新鋭の生け簀(いけす)っていう感じの所です。
それでも相変わらず日に何度かは急患を運んでくるヘリの音が聞こえ、相変わらずその度に心がざわめいて「絶対に助かって・・・!」と祈る日々です。
そんな穏やかな空間で、点滴も注射も無い数日間を過ごしてきましたが、今日は久々のルンバール(髄注)です。
骨に穴を開けて骨の中に在る骨髄を採取するマルク(骨髄生検)とは違い、体を海老のように曲げ、腰椎(背骨の下の方)の骨と骨の間に針を刺し、脳と脊髄を包んでる髄液を採取・検査し、その後抜き取ったのと同量の薬剤(3種類ほど)を注入します。
脳脊髄液の圧は微妙なバランスが保たれていて、それが崩れると様々な支障が現れるので、液の絶対量が極端に変わらないように注意する必要があります。
っで、なぜそんな痛くて恐ろしいことをしなくてはいけないかというと、本来僕の体を守るために必死にがんばってくれていた細胞君達が、主人である僕のあまりの無茶に堪えかねて、本来の目的を忘れて暴走してるワケですが、その暴走の仕方が血管内で全身に広がる瀰漫性(びまんせい)大細胞性という、比較的悪性度の高い形!!
再発率が高く、再発するときは脳に現れることも多いということで、今現在、脳脊髄液は正常かどうかの検査と、予防的な意味での薬剤投与というワケです。
髄注は2回目で、当初は月一くらいで行った方が良いだろうということで相当憂鬱だったのですが(だって怖いんやもん!)、1回目の治療結果があまりにも良かったということもあってか、幸せなことに(苦笑)暫くはその話題も出ずにきました。
しかし、外来治療をしながらの自宅療養を検討する中で、やはりこの病気の本質を考慮して、やるべきことはやっておこうということで、あと4回のR-CHOP療法に髄注を併用することになりました。
……ってことで、一部では「もう退院らしいぞ!」っていう明るい噂が広がっていたようですが(自分が一番そう信じてたかも!!)、髄注を併用することで予測しうる、あらゆる状況を考えて、暫くは入院のまま治療を受けることになりました。
本当は、とっとと退院して、密かにギターと歌の練習をして(今は抗ガン剤の副作用で両手の指が痺れていて思うように使えないのと、同じく喉の粘膜がやられていて声も思うようにでません)、いきなり皆さんの前で信じられないような美声を披露してやろうなどとたくらんでいたのですが、どうやらそれも、もう少し先のことになりそうです(:_;)
あっ…噂といえば、「佳はもうすっかり元気で誰でも病室へ乱入してもいいらしいぞ!」っていう恐ろしい噂もチラホラ聞きますが、こちらも残念ながら僕自身や極身近な人間の言動から派生した都市伝説です(笑)。
自分では全く意識しないのですが、お由美丼によると、日常的に会う人以外と話すとき、どうしても一生懸命明るく元気にしゃべろうとしてるらしく、そういえば後で声が出なくなったり、体がぐっしゃり疲れてしまったりするんです…まったく情けないことです!!
そういうわけで、日によって体調は大きく違いますし、とにかく人と長く会話をするのが辛いので、今のところまだ、面会は基本的には身内だけに限らせてもらっています。
とはいえ、社会復帰を目指して少しずつは慣れていくことも必要なので、元気な時や寂しい時、ひょっとしたらアナタに電話をさせてもらうかもしれません♪
どうかその時は、聞き取りにくい声でもじっくり聴いてやってくださいね(^∧^)
そういえば、おもしろいことがありました。
廊下に出てぼんやり壁にもたれてると、いきなり「堀内さん?」と呼ぶ男性の声!!
少し驚きながら「はい!」と応えると、その紳士は「やっぱりそうやった!」と言いながら歩み寄って来られました。
「僕はよくラジオを聴いていて堀内さんが入院されたことは知っていたのですが、病気が病気だからおそらくここか大学病院じゃないかと思ってたんです!!」
「そうでしたか!! それで? 貴方もこちらに入院していらっしゃるんですか?」
「はい…実は驚いたことに隣の部屋だったんです!!」
「え〜!!!」
「ただ私はお陰様で今日退院なんです」
「お〜…それはよかったですね」♪
「はい、5月から急性白血病で治療を受けてまして、ほら、髪の毛もこんな感じで……」
そう言って僕の手を自分の頭に導きながら笑う初対面の紳士!!
「僕もほら!!」
「いや…堀内さんは眉毛が抜けてないですね! 僕なんかほら!!」
そういって眉毛を触らせてくれながら二人で大笑い!!
なんともほのぼのとした気持ちになりました。
…というわけで、次回の更新はまたいつになるか解らないけど、サイトの片隅にちょっとした宝物を隠したりすることもあるかもしれないので、どうかこりずに飽きずに毎日覗いてやってくださいね♪
それではまた♪