高知市の市街地を隔てて、海からは遠く離れた山沿いにあるこのマンション。
ふととてつもなく大きな什器が稼働してるような、いやもっと周波数の低い非日常的な低周波の空気振動を感じて耳を疑った!!
まっまさか… そんなことが……!!
暴風に備えて取り込んでたバルコニー用のサンダルをつかむのももどかしく南側のバルコニーに飛び出した。
ずず〜ん ずずず〜ん……!!
鼓膜がゆっくり動くのを感じるような低周波振動
もしかすると多くの一般ピープルには聞こえない音かもしれない。
きっと「波の音」などというと、よけいに聞こえなくなると思う。
なぜかって、それは多くの人が聞き慣れてる「渚に寄せる波の音」とは全く異質なものだから!!
そこには砂浜や磯を感じさせる音や、ましてや水を想像させる音成分など全く含まれておらず、とにかく大きなエネルギーの固まりが炸裂し続けるような、空気全体を振るわせるような音(振動)だから!!
でもそれは紛れもなく波の音!!
1,000キロも先から秒速40メートル以上の風に吹き寄せられてきた高さ10メートル以上の分厚い水の壁が、次から次へと大地に激突する!!
幼い日、盲学校の寮で、大型台風接近前夜に聴いて以来の恐ろしい音!!
あの音が、まさかここまで聞こえてくるとは……!!
まぁ湿度が高いほど音は遠くまで伝わるし、雷の重低音も20キロ先まで届くんだから、砂浜が無くなってまともに防波堤に激突する波の音が、地形の影響も受けながらここまで聞こえてきても、それほど不思議なことではないのかも!!
すでに県東部の安芸市(あきし)では、防波堤を越えた波によって民家が破壊されたというニュースが流れてる!!
昨年だったか、高さ17メートルの波が民家を襲い、3人の命が奪われた室戸市(むろとし)での惨事を思い出す。
今日一日北北西だったナービーの進路も20時には真北に変わり、どうやらこの分だと気象庁の予想進路のほぼ中程を通り、九州を縦断していくコースか!!
こうなると九州での被害が甚大になるのはもとより、ちょうど大潮の、しかも夕方の満潮時間に南からの暴風が吹き付ける土佐湾でも、高潮による災害も十分考えられるだろう!!
もちろん、大雨や暴風にも厳重な警戒が必要なことは言うまでもない。
それにしても、台風がここまでピーク時に近い規模と勢力を保ったまま近づくのも、やはり地球温暖化に伴う海水温の上昇が少なからず影響してるのかもしれない。
総論では解っていても、法や権力による拘束が無いと具体的な行動ができない僕達人類が変わらない限り、自分たちの歴史に自ら幕を引くというSF的結末も、いよいよ現実味をおびてくる。
この恐ろしい波音が、そんな地球からの警鐘のように聞こえて思わず身震いした。
とにかくできるだけ被害が少なく過ぎることを心から祈る。