豪華客船ふじ丸でのクルージングから今日でちょうど1週間。
6月4日のつぶやきに書いたこと以外に1つだけ、僕の中でずっと気になってることがあった。
それは、ふじ丸が高知新港の岸壁を離れる時、そして着岸する時、
たくましいエンジン音を響かせて巨大な客船を取り回していた2隻のタグボート!!
それは音だけを聴いている僕には、なんとも男らしくてかっこいいものに見えた。
あれはいったいどんな船で、どんな人達があそこで働いてるんだろう??
またまた僕の好奇心がむくむくと頭をもたげてきた。
そしてこのタグボートのことを、今日の「堀内佳のなんでもリポート」で取り上げたいと思い立った僕は、
まず104(電話番号案内)で県の高知港事務所の番号を調べ、担当職員にタグボートへの熱い思いを語ったところ、
船の出入港全般をサポートしている「高知マリンサービス」という会社の存在とその電話番号を教えてくれた。
昔よりずいぶん衰えた記憶力が働いてるうちにと急いで電話すると、宮崎さんという女性が対応してくれた。
ふじ丸の周りで機敏に動くタグボートの音に感激したこと、
華やかに脚光を浴びる船と岸壁の間で必死に働く人達の汗を少しでも多くの人達に知ってほしいことなどを話すと、
「そういうところに思いを寄せてくださることは大変ありがたいです」と彼女は大いに喜んでくださり、
出張中の社長さんや現場の責任者の皆さんに確認の上、快く取材を引き受けてくれた。
梅雨入りした今日の高知は朝から雨。
会場は4mの波があり昨日から「強風波浪注意報」が発令されたまま!!
そんな悪天候の中午後1時にラジオカーで高知マリンサービスの事務所に着いた。
宮崎さんは明るい笑顔で出迎えてくださり、海務監督の麻野さんを紹介してくれた。
船を出すためには、整備や燃料のこと、そして乗組員の確保など、かなりのてまがかかることは素人の僕でも想像に難くない。
それなのに宮崎さんも麻野さんも、とっても温かく迎えてくださる。
なんだか大きな海を舞台に仕事をする人達の、心の広さを感じ、僕もこの広い太平洋に面した高知県民であることに誇りを感じた。
お二人の案内で港に行ってみると、
この会社が所有する「新征丸(しんせいまる)」と「金剛丸(こんごうまる)」という2席のタグボートが並んで繋留されていた。
「この2席がふじ丸を曳航したんですよ」と麻野さん!!
なんだか鳥肌が立った。
タグボートの周りには大型船をいわば体当たりで押していくために、大きなタイヤが2重に取り付けられている。
岸壁の端からまずそのタイヤに乗り移り、それから「しんせい丸」へ、
さらに因幡の白ウサギに出てくるワニ鮫の背中のようなタイヤを渡って目的の金剛丸に乗り込む。
想像したよりは全然すんなりと乗船できた。
乗ってみるとタグボートは意外と大きい!!
全長30m・全幅8m・総トン数は170トンもある。
船長室・機関長室・4〜5人が使用できる寝室やサロンの他、浴室まで完備されている。
大型船や岸壁の上から見ると平べったいだけの船に見えるのは、船体のかなりの部分が誘導する船の下に潜り込んでるかららしい!!
機関長の竹内さんがエンジン始動の音に注目するようにと言われた。
エンジンは3,000Bps(1,500Bps×2)。
ジェットペラといういわば筒の中にプロペラが入ったような推進装置が2個付いていて、
それぞれが360度向きを変えることによって左右前後に自在に進むことができるとのこと!!
イグニッションはセルモーターではなくコンプレッションエアーでピストンを動かすため「ぷっしゅん」という独特の音をきっかけにエンジンが始動する!!
これもまた新鮮な驚きだった。
階段を上がって操舵室に行くと、船長の松崎さんがこれまた暖かく迎えてくださった。
土佐市宇佐町出身のこのニヒルなキャプテンの言葉は、15年間土佐市の住人だった僕にはやたら懐かしかった!!
番組本番はタグワイヤー(大型船を曳航するロープ)の在る作業デッキから放送したいという僕の我が儘で、1階最前方の屋外にあるデッキに下りた。
タグワイヤーの直径は85mm!!
小さなロープを沢山編み上げたようなそのでかいワイヤーが約80mリールに巻かれている!!
それを船長の一声で微妙に出し入れして大型船をコントロールする!!
これもすごい話だ!!
船の進行速度と折からの向かい風に乗って、かなり強い雨が顔に吹き付けるけど、全く不快感は無い。
それどころか気持ちよささえ感じる!!
本番のインタビューでは麻野さんが、
水先案内人が大型船に乗り込み、無線でタグボートを自分の道具のように操って港の中を誘導することなど、
そして宮崎さんは、
この不況で少しでもコストを削減するために、タグボートを使わずに無理矢理自力で出入港しようとする船が増えてること、
それでも座礁などの事故の時は、海上保安部からタグボートの出動要請があるため、いつでも動けるように準備しておかなければならないこと、
そのためには大変なコストがかかってしまうことなど、まさに「目から鱗」の話を沢山聞かせてくださった。
予定では浦戸湾奥の高知港を出港し、桂浜と種崎の間を通って高知新港に接岸、上陸する場面をも含めてレポートするつもりだったけど、
波が高かったため新港への接岸は断念し、湾内の航行だけで母校の岸壁に戻った。
放送が終わってから接岸までの時間、宮崎さんや麻野さん達と船内のサロンでいろんなお話しをした。
お二人は僕の好奇心の強さに大変驚かれたことや、
日頃目で見て当たり前に思ってる風景が、僕が言葉にすることによってとっても新鮮に見えたことなど、
ラジオパーソナリティーとしてほんとにありがたい評価のお言葉を沢山くださった。
さらに宮崎さんは
「佳さんがタイヤを渡って乗船される時、ちょっと手を伸ばせば私達の助けを受けられることが解ってるのに、
あくまでも自力で1歩1歩進もうとされる姿に感動しました!」とも言ってくださった。
下船後帰宅するまでの車中、流れていたラジオでリスナーからのメッセージが放送された。
「宮崎さん麻野さんご心配なく!!
私は子供にタグボートの大切さを話していますよ。
今日の放送を聞いて、その思いがますます強くなりました。
佳さん、これからも縁の下の力持ちでがんばってる人達を沢山クローズアップしてくださいね。」
詳細は聞き取れなかったけど、だいたいこんな内容だった。
『縁の下の力持ちシリーズ』は是非続けていこうと今日決めた。