風呂屋につづく地下道を愛犬と散歩する。薄汚れた黄緑色の壁はところどころ塗装が剥げかかっている。その坂を上り地上へ出ると落ち葉が積もっていた。あたり一面が落葉の海となる。いったいどんな樹木から抜け落ちてきたのかと見回せば、いつも通り、風呂屋と戸建て住宅と電柱があるだけだった。落ちた枯れ葉の渦のなかによその犬の糞便を多数認める。半ば呆然としながら散歩は続けられる。
少し寝坊してしまい、朝の気配に迫られながら現実に犬の散歩をし、夢の内容を憶い出す。
それがどれだけ緊迫し、或は空虚なだけの夢であっても、夢の無責任さにどこか救済された気分になる。
徐波睡眠から逆説睡眠に入るときの一瞬の筋肉の弛緩。あれが好きだ。