仲の良い友人が住んでいたマンションの一室を譲り受けることになった。
デザイナーズマンションというのだろうか。ホテルのように洒落ている。
広くない。むしろ狭く圧迫感を感じる。玄関のすぐ脇にキッチンがある。手元を照らすためなのか蛍光灯がたくさん置かれている。まだ手つかずの友人の荷物でごちゃごちゃしている。だけどそれが厭ではない。
寝室の前には愛用の赤いスリッパ。一足先に到着していた母は既に部屋に籠っているらしい。
エントランスで普段は挨拶したこともない人に挨拶をされる。軽く返しながらマンションを出る。お祭りでもやっているのか、マンションのすぐ傍で密集する屋台。賑わう人々。その焼き鳥やビールを見ながら、小銭すら持って出なかったことを少し後悔した。猫が焼き鳥を貰っている。その瞬間を写すカメラもない。
すぐに部屋へ戻る。友人が自分の荷物を取りに来ていた。そしてなぜか小学生のような格好で出ていった。
電話の鳴る音で目が覚める。