君は今から死ぬんだ。そう、死ぬのさ。私はその道案内に遣わされたんだよ。死ぬのが怖いってぇ？死ぬ事の何が怖いのさ？消えてしまいたくない、か。大丈夫だ、死んだって消えはしないんだ。ただちょっと狭い門をくぐる。死んでも君は残る、だけど消えるものがある。色さ。あの世に色は持ってけない。感情も色だ、そいつは持ってけない。死の瞬間はちょっと苦しい、だけどがんばれ。死んだ後には此処より広く楽しい世界が待ってるんだ。たーっくさんいるよ、君の仲間がね。私は歓迎する、貴方を。それじゃあ準備は整った。さあ行こう、安心しな、力を抜かなきゃだめだ。さあ。

なんでかなぁ、なんで…。私は君に対して恐れや動揺を抱いてはいけないんじゃないかなって思うのだけど、私が気が小さいもので何時も上手くいかない。私はもっと感情で君に接するべきだとも思う。君は知識武装してる様に見えるから、知識や理論では届かない深い感情で、知識や理論を超えたもので君と話さなくちゃいけない気がしてる。君を尊敬してる、だから君との間で何かあると直ぐ動揺してしまう。本当は、君こそ感情の世界の人間なんだと私は感じてるのに、多分感情を無視してる。無視して名を取り上げてなんだかわからなくなったその感情だったものに振り回されて苦しんでる。そして何故苦しいのかも分からないし名の無い感情を言葉にはできない。そんなのが積もりに積もって、あらゆる感情は混ざり合い余計それが何だか分からなくなる。違うかな？いや、多分聞かれても君自身には自覚はない。名が無いなら理論上、思考上無いもおなじだ、でも君は人間だ感情が無いわけが無い。気づかないだけ、分からなくなっているだけ。早く側に行きたい、そして見せてあげたい。

神は測っていた。堕とした使いがその受けた生をどう使うかを。神は気分で言った、終わろうか。マイナス1とプラス1は再び融合して世界は終わる。きみが居れば生きていけそうな気がするんだよね。確かな根拠は無いのだけどそんな気がする。死にながらでも生きていける存在して行ける。泣いてばかりの君と私だけど、それこそが生の本質だと思う。泣き叫んで何かが得られる、もしくは失わずに済むのならもう誰の目も気にせず泣き叫べばいいと思う。辛くて苦しくて吐きそうで、涙を流して悔やんで焦って、分からなくて不安に潰される。救われたくて救われたくて欲しくて欲しくて喉はカラカラで。そんな時間が永遠に感じられる。君を笑わせる事が出来るだろうか、できたらいいのだけど。2人で笑えたらいいのに。いいのだよ、今は自分を優先して。誰かの小さな幸せを願うのは誰でもだけれど、そのために君が死ぬ事はない。そうしないと生きていけないなら今はそうしていていい。生きるためにする事を誰も咎めたりはしない、法の下でね。止まない喉の渇き、生きるがための渇望。いいの欲しがってさもなくば死んでしまう。私は全てを白紙の向こうに求める…

なんでそんなところに居るの。自分からそこへ出向いたじゃない。なんで泣き叫ぶの。早くそこから去ればいいじゃない。何をしているの。その先に何か欲しい物でもあるの。どうしても諦められないの。ならば行きなさい。ここからじゃそちらへは手が届かないから、私のはその悲鳴を聞いて泣くしか出来ないけれど。どうにか届いて欲しいと私は呼ぶけれど。行きたいと言うのなら行きなさい。探しているものが手に入らなかったとしても後悔はしないのでしょう？私も多分前に訳も分からずその道を歩いたの。だから私は、行くその後ろ姿を見ていてとても苦しくなる。だけど行きたいのでしょう？ならば行きなさい。

そこら中にあふれ落ちる悲しみを慰めるように。風と流れるむなしさをなだめるように。高い空も深い海も有るというのに。何かを手にすることも、手放すことも嘆くと言うのなら、もう消えてしまえばいいのに。始まりの場所に、生まれる前に、何も無かったところに。草花が泣きながら揺れる。探している、探している、何をか分からないけど探している。