夢の跡かもしくは夢の後か。朧気な記憶が残留して。曖昧な現実感で夢の国。虹の岬祭りでは無く虹の夢祭りと呼びたくなった。昨日までのあの生活は何だったのだろうか。ふわふわとして定まらない昨日への焦点。クタクタになって帰ってきた今、まるで夢でも見ていた気持ちになる。しかし夢からの土産が現物としてある。不思議な不思議な大人の世界だった。火を囲んで舞い。神様の足元で寝。一面草原の中、小さく私。子供は果物を売り買いし。遠い国の音楽がなる。また行きたい。

世間はいつの間にか春が来ていて。生温い夜風が吹くようになってきたけど、毎年この時期、切なくなるのはなんでだろう。心の軸がユラユラ揺れて。見える世界までもがふらふらし出して。線路にそのまま歩き出しそうになる。いくら忘れないように薬を飲んでも季節の空気には勝てない。夜の景色のどの光も揺れていて。心も一緒に揺れている。ゆらりゆら、ゆらりゆら。

完璧なドラッグはあるか？それは処方箋だ。身体への負担も少ない。精神依存も少ない。最近の処方箋薬で死亡例はほとんど無いに等しい。覚醒剤に似た作用のアッパー系処方箋薬もある。いわゆるダウナー系のもまた。正しく使えば害は無いに等しい。素晴らしい世の中になった。恐ろしい世の中になった。難しい世の中になった。

うまくいかない自分に腹が立っていて。そんな自分にも腹が立っている。もう何がなんだか分らなくて。どうすればいいのかも分からない。あー過去の記憶が邪魔をする。夢までもが敵となって襲ってくる。

いつでも死は私の隣に寄り添っていて。呼べば素直にやって来る。私が嫌がればどっか遠くに行ってくれる。なんて賢いペットだろう。どうか死よずっと隣にいておくれ。