最大の不幸は死ぬことより生き続けていくことだと思う。

夜間電車の窓の向こうにもう一人私がいる。真っ暗い背景に浮かぶ私のモノクロな姿。まばらな乗車客の中。一人窓に映る自分を眺める。いや、見つめ合う。ずっと遠くに自分がいるように見える。向かい合って揺れる。ガタリゴトリと揺れる。ゆらりゆりかご。闇に埋もれそうになって。助けてとでも訴えかけて来そうな目でこっちを見てる。きっと大丈夫だよ。なる様になるさ。

なんで生きなきゃいけないんですか？そのうちみんなみんな死んでしまうのに。頑張ったことも。泣いた事も。笑い合った事も。生きていたことさえも。全て忘れられて消えて行くのに。この世に生まれたのが何かの間違いだったのか。人間が産まれたことすら初めから間違いだったのか。面白きことも無きこの世を面白く。とか言う。はっきり言ってめんどくさい。生きるのも。笑うのも。泣くのも。頑張るのも。めんどくさい。だからと言って死ぬのもめんどくさい。あーめんどくさい。

生きているだろうか。自分は。ちゃんと。生きているだろうか。生きてるって何だ。続いていくこととか。息してるとか。それでいて。意識がなくても。植物人間でも。生きてるのかなあ。誰にも認識されず。誰の記憶にも残らず。何にも影響しない。そんなのが。生きてるとしたらば。死んでるって何だ。とても曖昧で分からない。

いつでも警戒していて。どこでも気が張り詰めていて。神経が高ぶりっ放しな。無駄な消費エネルギー。そして燃料切れ。すっからかんなバロメータ。マイナスにまで墜落しそうな。気力と意欲となんたらと。生きている？まだ生きている。もうよくないか。もう十分じゃないか。もううんざりじゃないか。生きるのも。