五月晴れの朝、また「金時山」に登った。「足柄峠」の方から35年前に家族4人で始めて登ってから私はこれで130回目になる。いまはアルミ製のハシゴが12本立てかけてあり「ね・うし・とら・・・」のマークがついているが、その頃は急な崖をクサリを頼りに子供たちもよじ登った。別名「猪鼻山」の名前のように、横から見ると金時山の足柄峠側の斜面はブタの鼻のように直立だ。
この中腹あたりには「シロヤシオ」が10本以上もあって、ハシゴを登りながら下から見上げる。真っ白な花をうつむき加減に半開きに咲かせては散っていくので、同じツツジの仲間でも独特の気品が感じられる。山ではふつう葉が3枚でピンクの「ミツバツツジ」をよく見るけど、これは「五葉つつじ」とも言って皇室の愛子様の「お印」になっているのも頷ける。東北や日光などでは「アカヤシオ」、西の鈴鹿山脈では「ムラサキヤシオ」が有名だ・・・。
3年生NIさんは前回、「小樽商大」の和訳で A man's home is his castle.という成句に始めて出会ったんだね。「家はその人の城である。」つまり後半に、「警察でもはっきりした証拠がなければ家宅捜索の許可書がおりない。」と書いてあるね。A manは「一人のひと」だから a person のこと。 The man は「その人」だけど単なる man は「人間」と和訳しよう。他の動物と区別するときには無冠詞で使う。mankind の意味に近い。今日は「分詞」をやる前に2007年のセンター試験問題を一部解いてみた。整序問題3題のうち、 He seems to know how to get around problems. が難しかった。「彼はいろんな問題を解決する方法を知っているらしい。」
TA君は前回入試の難しい和訳がほぼ完璧に訳せていた。ただ「京都府立大」の後半がかなり長くて難しかったね。I earnestly urge all young people contemplating their careers to keep in mind /that nothing in work is finally rewarding /unless it is work you would be willing to do for nothing /if you could afford to.SVを中心に「節」の区切りをつけてみてそれぞれを和訳してみると、(1)「自分の職業を考えている全ての若い人たちに・・・を覚えておいて欲しいと心から思う。」(2)「仕事の中には最終的に報われるようなことはなにもない、と」(3)「その仕事がもし無給でもやってみたいと思うような仕事でないなら」(4)「もしそうする余裕があるならば」。これらを逆順につなげれば正しい日本語になるね。
2年生のENさんは前回、英作文で「付帯状況」を勉強した。「鳥取大」の「ジョンは弟を数歩後にしたがえて、近寄ってきた。」は、John came up to me. の主文にHis brother followed him a few steps behind.という状況を付け加えるには、もちろんand でつなげておけばいいけど、分詞構文のように書きたければ with his brother following him・・と「付帯状況」の表現が書けるといいね。今日は第5文型のSVO-ing(現在分詞) とSVO –ed(過去分詞)を勉強した。OCの関係がさらにSVの関係になっているから、前者は進行形、後者は受身形と同じ。We listened to them discussing the problem. は「彼らがその問題を議論しているのを聞いていた。」の意味。
YO君は明日から中間テストなので試験対策に専念した。 尾上
(追記)20年前のその頃「理論言語学」を勉強していて、チョムスキー博士の「生成文法」、別名「UG理論」(UG会もこれです。)を研究していたから、それが応用されている「機械翻訳」にすごく興味を持っていた。富士通の「アトラス」(ATLAS)という自動翻訳ソフトが完成し製品化されて500万円くらいで発売された。かなりの高価な物なので、人件費のかかる翻訳会社や大きな製造業が輸出品に添付するマニュアル用に購入したようだ。人間の翻訳者と違って、日夜24時間働く「自動翻訳機」を導入して大量の日本文を翻訳させて一刻も早く完成品にするわけだ。
オーム社の「機械翻訳サミット」が今も本棚に飾ってある。今から約30年前に「箱根プリンスホテル」で開催された「サミット」の会議録だ。研究の最先端を行く京都大学の長尾真教授を筆頭に、大学と多くの電機メーカーなどが一体になって通産省の後押しもあり、国内や海外からも研究者が「箱根」に参集して「機械翻訳」研究が強力に推進された。後年、同じような内容のフォーラムが東京のホテルで開催されると知って私も参加した。最先端テクノロジーの話は難しいけど、とても新鮮でさらに興味が倍加した。
ヨーロッパは9カ国語がひしめく地域だから機械翻訳の必要性が叫ばれてきたが、本格的研究の発端は1977年頃カナダで、「天気予報」を24時間ずっと機械翻訳に任せることが提案された。この国は英仏2カ国語が公用語になっているためだ。3カ国語のスイスなんかも欲しかっただろうね。これがきっかけになり、人工知能(AI :Artificial Intelligence) の研究の高まりと並行して日本でも研究が始まったようだ。この分野では工業国の日本が世界の最先端だった。
機械翻訳も今では「音声認識」での進歩もあって、単なる単語や会話の日常表現はしっかり発音すればすぐに音声で英訳も和訳もしてくれる。外国人のことばがわからなくて逃げだす、というようなことがなくなるね。「胸ポケット」に機器を携帯して「通訳」もやらせよう、というのがテクノロジーの「夢」なんだね。まだまだスタートしたばかりだけど。
