高校英語UG会 三島・裾野・御殿場

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春期講習は1日〜5日
春期講習は1日〜5日
2015年3月30日(月)三島ゆうゆうホールにて  「ミズバショウ」
 箱根・仙石原の「湿生花園」が今春もオープンしたので行ってみた。お目当ては「ミズバショウ」。白樺の林の中を小川が蛇行して、その水際にびっしりと緑の葉に囲まれた真っ白な仏炎苞(ホウ)が、まるで大海原のヨットの大群のように一面の白い帆、帆、帆。なんと美しい!「白馬岳」中腹の「栂池自然園」や「尾瀬ケ原」「尾瀬沼」では6月開花だから、標高600mのここが一番早く見れるところだ。この背景画面に見えるように、新芽が地面から噴き出すイメージがまさに「スプリング」だね。
 2年生も次回から新3年生になる。「構文101」シリーズは生徒の進度が各人違っていて、早い人でも84課までだからこのまま継続しよう。5月末の中間テストあたりに完了できるかもしれない。
 TACさんは77・78課で「無生物主語構文」を勉強した。日本語なら「人」が主語となって「〜させる」と言うべき時に、「物・こと」が主語になるような文をいう。コツは「受け身」に直した和訳にすればよい、とわかったらTACさん、どの問題もうまく和訳できた。上智大も愛知大もうまく訳せたね。入試の英文和訳にも取り組んだが時間不足だったね。春休み中に自宅でやってみて。
 KOさんは和訳でとても頑張っているね。細かな間違いや意味不明の箇所にはアカで添削しておいたよ。「お茶の水」の和訳で in the other directionは「ほかの方面に」ではおかしい。anotherではなくてthe otherだから「(弟とは)反対の方向に」。the other〜は「(二つの内)残った方の」。another〜はan other〜と同じで「(いくつもある中で)もうひとつほかの〜」と言う意味。今日は81課「倒置構文」82課「省略」を勉強した。入試の和訳「仮定法」を2題にとどめて、英作文に時間をさいた。東大の「日本文の要旨を英語でまとめる」問題、東京外語の「日本文を参考に、あるテーマでエッセイを100語で書く」問題をやってみた。なかなか難しいね。
 3年生MA君は今日、高校の「離任式」に出席し恩師の引退をお祝いに行ってきた。新調のスーツを着て。来週はいよいよ大学生だね。前回TOEICをやってみて安心できたので、今日はTOEFLのITP版を3題やってみた。語彙のレベルが高くて、10問中1〜3個まちがえてしまった。大学へは自宅から京王線の明治大まで通うそうだから、余裕があったらUG会を続けてみて。
 今日は三島教室の「新入会・見学会」だった。新3年のご父兄が2組参加された。サッカー部やテニス部の現役だそうでとても忙しく通ってくるのが大変そうだ。最後の1時間でも毎回出席できると効果が期待できるけど。来週6日の第1回から一緒に始めましょう。春期講習には2人希望してくれている。 尾上

(追記)私が卒業した50年前の東京外語大は2期校で(今の後期試験と似ているが受験チャンスは各校1回だけ)、「東大」や「一橋」という1期校の受験に失敗したコンプレックスをもった学生が多かった。再度チャレンジしようとクラスを去っていく仲間もいた。着々と準備を始めて卒業後、語学・文学系なら「東大」の院へ、経済・法律なら「一橋」の院へ進学する人も多かった。友人の弟はそのコースで成功し、後に東大のドイツ語教授になった。
 海外の大学院に進学する道もある。私の次男は東京の「武蔵大学・経済」を卒業した後、しばらくCITY銀行で働いたがTOEFLでがんばってアメリカに留学し、オハイオ州立大学・カランバス校の大学院に進んだ。「外国人の日本語学習」で論文を書き「教育学」の修士号Masterを得た。米国では大学院の研究は学部時代の専門とは異なっても問題ないらしい。
 息子のガンバリに父親の私も影響されて、長年続けた「英語学」で修士号をとろうと思い「東京学芸大学」の院に55歳で入学した。ここでは「学芸大附属高校」などの現職の高校教員をうけいれるカリキュラムがうまくできていて午後から夜間にかけていくつも講座を設けてくれる。大学の授業は年間せいぜい20週なので、教員に在職のままでも年休20日間を使えばなんとか単位が修得できた。
 毎週金曜日、3時間目が終わると職員室に戻る時間も、チョークの粉を洗い落とす時間も、靴を履き替える時間も惜しんでサンダルのまま通用口から車に乗りこみ出発。「東名高速」を川崎ICまで走り、2時間後には武蔵小金井の学芸大の門をくぐり、13時からの英語学のゼミ開始に滑り込んだ。
 現職の私のために、翌日土曜日にも教授たちはゼミを開設してくれたので、今度はゆったりと小田急や東名バスで往復した。修士課程の必須科目がたくさんあって修了が夜8時過ぎになり1年目が一番キツかったけど、2年目から楽になり後半はほぼ「修士論文」作成に費やすことができた。決意が固ければなんとかなる。ことわざに、Where there is a will, there is a way.(意あれば道通ず)というよね。
2015/03/30 (Mon) 23:21


英語はつづくよ、どこまでも
英語はつづくよ、どこまでも
2015年3月27日(金)裾野市民文化センターにて「湿生花園のカタクリ」
 21日の新聞折り込み広告に載せたように、今日がUG会裾野の「見学会」なのだけど参加者はゼロだった。ションボリ・・。しかし、YU君のお母様が最後のごあいさつに来てくださった。神戸のチョコと上智大4年生の魅力溢れるご長女も一緒に。YU君が浜松医大でご次男もこのたび東大理2に合格して、優秀な子供さんに囲まれてなんとスゴイご家族なんだろう!お会いできてうれしかった。3年生が合格後も3月末までずっと出席してくれたなんて、こんな塾はめったにないだろうなあ。「UG会を楽しみにしてましたよ。」とは、教師冥利に尽きます。「私も本当に楽しかった!」
 YU君、3年のテキストはすべて完了した。この1年間で和訳の力が格段に伸びた。単なる逐語訳ではなくて、難しい内容でも正確に理解し適切な日本語で表現出来るようになったね。雑だった文字もずいぶんていねいに書いて読みやすくなった。今日は最後に「自由英作文」をいくつかやってみたが、難しいのは文法や英文の構成よりも中身だね。何が言いたいのかを明瞭にしないといけない。エッセイではまず「結論」を簡潔に書いてから、その理由をていねいに述べていくという手順に注意しよう。日本語の一般的な帰納的論法とはちょうど逆だね。大学生になってもNATUREやSCIENCEなどを通していつも英語に触れる生活をしてください。英作文や英会話にも時間が割けるといいね。将来きっと役に立つ。
 MA君は前回、かなり難しい英文和訳も正確にできた。英作文がもっと確実に書けるようになるといいね。金沢大の下線部英訳は、日本文「幼児教育を強調する人・・」が難解で、直訳では英文にならないから「もっと幼いうちに教育をすべきだと主張する人」というふうにかみ砕いてから英訳しないといけない。今日はご希望のTOEICの練習問題をいくつかやってみた。ほぼ全部正解が出せたね。易しいけど短時間で処理する能力も問われているのでしょう。元来はビジネスマン向けだけど大学のクラス分けや単位認定にも利用されているようだ。東高でも一部で利用したようだね。MA君、国立にも受かったけれど結局「明治大・法」に行くことに決めた。「すべての道はローマに通ず」だ。絶対に間違った道などないよ。自信を持ってたくましく生きよ!
 2年のEC君は前回、和訳がずいぶん上達したね。「省略」の項目では、英語と日本語では異なるので、いい和訳にするには出来るだけ省略語を補って繰り返すことが大事だ。英作文では東大と東京外語の問題にチャレンジしたがまだまだ不慣れだね。問題の趣旨を取り違えると得点に結びつかない。もっと練習を重ねよう。今日は「省略」と「挿入」を勉強した。学習院大では一文にカンマが6つもついて、どうつながるのか判別が難しかったね。「カンマカンマはカッコ」とか、他動詞のすぐ後には目的語とか、応用力を生かして欲しい。
 新会員のKAさんはしっかりメモをとって一言も聞き逃すまいと意欲的だ。和訳の右端に単語・熟語などのメモ欄を添えるのもいいアイデアだね。前回、fortuneの意味を「幸運」としてはおかしかった。もう一つ「財産」という意味にもなるんだ。たとえばspringは「飛び出す」の原義から「バネ」にもなるし、「水が飛び出す所」→「泉」、「芽が飛び出す季節」→「春」のように意味が「拡張」する。1つの単語が複数の意味を持つのは英語も日本語も同じだよ。
 今日は「倒置」と「省略」を勉強した。Neverや Littleなど否定語を文頭にだして強調すると、SVが疑問文のような語順になる場合:「倒置」@・・・第1文型(SVM)と第2文型(SVC)は、MVS、CVSのように「動詞」を軸にして前後を入れ替えできる。第3文型(SVO)はOSVのようにO(目的語)が主語の前に飛び出す場合:「倒置」A 尾上

(追記)YU君、YAさん、MA君、TA君、NU君の5人が今年のUG会卒業生だ。5日後にはそれぞれ浜松医大、上智大、明治大、日本大、日体大という新しい環境での勉強が始まる。18歳になったところで人生はまだまだ手探りだろうけれど、共通に「夢」があるのがすばらしい。心より「幸多かれ!」と祈ります。
 あらたなスタート地点に立って、試行錯誤もあるだろうけど間口を狭めてしまうことのないように気をつけてね。とりあえず4年後・6年後の人生設計をおおまかにでも立てたい。いつでも柔軟に切り替えてもいいけれど。同年代の仲間の意見だけでなく、先輩や先人の経験豊かな話にもぜひ謙虚に耳を傾けよう。人生はとても長いからやってみて無駄なことなんてないと信じていいよ。すべてが将来の自分の肥やしになっている。近道とか要領のよさばかりに一喜一憂していてはつまらない。
 大学時代の私は要領が悪くてアンテナが低くなかなか方向が定まらなかった。「外務省」とか「商社」とか「NHK」の研究員も考えた。2年生の時には東海道線の夜行列車に乗ってはるばる西宮市の母校甲陽学院まで恩師にアドバイスを求めに行ったなあ。「セルビア・クロアチア語」のエキスパートになることを夢見てユーゴスラビア大使館に留学の可否を尋ねに行ったこともある。このような紆余曲折を経て卒業間際に英語の高校教師になろうと決めた。教授が推薦してくださる「商社マン」の就職口だけははっきりお断わりした。父と母の苦労を知っていたから。
 さらに高学歴が必要な人や学問が好きな人のために「大学院進学」のことを少し書いておこう。お別れの「はなむけ」として。
 ネットに「東大の大学院に行こう」という広告が載っていた。「中央ゼミナール」という予備校の案内だ。4年生大学を卒業してそのまま同じ大学の院に進学する人や、たとえばイギリスやアメリカに留学したりする人は別にして、東大のような国内の別の大学の大学院に進学して、さらに2年間の修士課程やその後の博士課程に進みたい人のための予備校だ。意外に間口が広くて合格者の30%から50%は外部からの受検者らしい。学部入試に落ちても大学院で再起を図り最終学歴が東大になる、という話。
 入試科目は英語の得点と面接だけという学科もあるけど、普通はそれぞれの専攻科目や小論文のほかに外国語が2つ必要になる。たいていは英語に加えて独・仏・中国語のどれかだ。前回のブログに書いたけど、東大の院でもTOEFLのITP版を最近採用し始めた。これで英語力が試験できる。TOEICと同じように企業でも採用する時代がくるかもしれない。英語から逃げられないねえ。
2015/03/27 (Fri) 23:59


新会員募集中です
新会員募集中です
2015年3月23日(月)三島ゆうゆうホールにて 「ハクモクレン」
 21日(土)の朝刊に「企業ニュース社」に加えてもらって、折り込み広告でUG会の新会員を募集した。小さなスペースだけど4月1日からの「春期講習」の案内も載せた。4人〜6人くらい加入してくれると理想的だな。
 3年YU君は前回、東大の「死の恐怖」の英文要約50語〜60語がとてもうまく書けていたよ。settle「定住する」とは、移動の生活をしている個人、団体(冒険家、旅芸人、フーテンのトラさん、ホームレス、遊牧民など)が一カ所に腰を据えて暮らすこと。大学でsettlement活動をみつけたら、そういうホームレスに定住の援助をする活動のこと。次回は最後のようだから「英作文」を中心に勉強しよう。
 YAさんは今日もTOEFLのITP版を3題やってみた。70〜80%の正解だから合格だ。なにも満点でなくていい。わざと間違えそうな選択肢を加えて平均点を下げようとしているだけだから。TOEFLは年間なんども受験できるけれど、受験料が高く1回200ドル以上もカード払いせねばならない。国内の普通の検定料の10倍以上だ。さらに4技能(Reading, Writing, Speaking, Listening)すべての試験があるから、日本人でもかなりの語学力が要求されるが、米国の州立大や名門私立大に入学するには高得点を取らねばならない。
 そこで上智大学が中心に開発されたのがITP版で、聖心女子大ほか東京・関西の多くの大学が団体で採用して、英語圏の国々への留学生用に利用している。日本人は「発信」が苦手なので、得意な2技能(Reading, Listening)つまり「受信」だけに絞ってペーパーと音声でテストする。SUさんもこの目標があるから大学生だけどUG会に通ってくれる。
 2年KOさんは英文の仕組みがかなり理解出来ているけど、語彙力をもっとふやしたい。前回「中央大」の和訳では苦労したね。firmは@しっかりした A会社。companyは@会社 A仲間、greedyは@貪欲な A食いしん坊の、・・など。電子辞書は便利だから私も使うけど、家庭学習などで余裕があったら是非ペーパーの辞書を引いてみるとよい。特に頻出の基本単語は例文をみながら語源や例文も一緒に勉強すると記憶に残るよ。
 TACさんは「特殊構文」の第1弾「名詞構文」を勉強した。動詞や形容詞の名詞形を見つけたら「〜の〜の〜」と理解しにくい日本語にせず、前後に主語や目的語に相当する名詞にも注意して「〜が〜を(動詞)〜すること」とか「〜が(形容詞)〜であること」というふうに一つの「文」になるように和訳するとよい、という大切な単元だ。例えば・・because of the immediate spread of news.は「ニュースの瞬時の拡張のため」と訳すよりは、SVの文に置き換えて、because news spreads immediately「ニュースがすぐに広がるので」と訳せるように意識しよう。
 終了後YAさんのお母様がご挨拶に見えた。私が中学時代住んでいた宝塚市のご出身で、お父様も西宮市の甲陽学院高校で私の後輩という奇遇だった。YAさん、上智大では「国際法」を志すそうで実に楽しみだ。お礼状と素敵なマグカップをいただいた。”No.1 Teacher”の文字とトロフィーの絵。そうなれるようまだまだ努力します。ありがとう。 尾上

(追記)春の訪れの遅い御殿場の拙宅でも美しい純白の「モクレン」が咲き出した。毛筆のような形の大きなつぼみをたわわにつけて寒い冬を乗り越えた。嗅いでみると高貴ないい香りなので一枝折って花瓶に挿した。真っ白な六弁の中央に赤色のめしべと黄色のおしべが見える。純白の花弁に真っ赤な芯の「オオヤマレンゲ」にも似ている。これは我が家の庭でも咲いてくれるが、奈良の大峰山に自生している国の天然記念物だ。
 朝日百科「植物の世界」で調べたら白のモクレン(木蓮)は「ハクモクレン」で、街路樹でもよく見かける紫の「シモクレン」と区別するそうだ。「オオヤマレンゲ」や「コブシ」も皆「モクレン科」の仲間だったとは知らなかった!「コブシ」は山に行くと「タムシバ」という名で、昨年春には箱根の全山をまるで雪のように真っ白に染めたなあ。さらに巨木の「ホウノキ」もこの「モクレン科」だとわかった。これも芳香が好まれて大きな葉は「朴葉味噌」の皿になる。
 米国ではモクレンを「マグノリア」と呼んで、濃い紫やピンク・白の花が一杯に咲く。私は昔NYに滞在中は4月下旬の「桜まつり」に合わせてよく「ブルックリン植物園」に行った。正門からイベント会場の「日本庭園」に至るまでの遊歩道はずうっと、見上げるような大木のマグノリアの花に溢れていた。同じ時期に咲いて桜よりもずっと大振りの花がアメリカ人好みかなのもしれない。
 日曜日、沼津に買い物に出たついでに久しぶりに沼津東高に立ち寄った。懐かしい「香陵記念館」(図書館)とその裏の「逍遙の杜」にはよく池の掃除や生徒の監督に行ったなあ。6月には真っ赤なヤマモモの実がいっぱい落ちていた。まだ桜開花には早くて冬景色だったが今月末には咲き出してこの「杜」が離任する先生たちの花道会場になるはず。
 10年前と変わったのは一番奥にある、旧図書館で学生食堂だった「香陵会館」くらい。改装したらしく真っ白に化粧していた。入口には早咲きの「寒緋桜」が今もそのままで、真っ赤な花びらが絨毯のように散っていた。50歳で東高に転勤してまもなく、ここには「ニュートンのリンゴの木」が記念植樹された。東大名誉教授の長倉三郎氏が母校の東高に寄贈したもので、東大附属の「小石川植物園」から分植したもので、元はイギリスの原木からとった孫の苗木だった。
 このリンゴの木はニュートンが「万有引力の法則」The Law of Gravitation を発見するきっかけになったという。そうだ!思い出した。中学でご褒美に「カツ丼」をごちそうしてくれた社会科の先生が、私の卒業記念ノートに「ニュートンもクソの落ちるに気がつかず」という川柳を書いてくれたなあ。博学で面白い先生だった。
 ここは私が11年間車を駐車した場所でとても懐かしい。いつも玄関を通らず朝夕この通用口から出入りしていた。寒緋桜と並んでコブシの大木が真っ白な花を一杯につけていた。このコブシの花は秋になると名の如く「ゲンコツ」のような形をした実をたくさんつけ鮮やかな赤いタネが飛び出してきた。「ホウ」(朴)も大きな実を結ぶ。箱根に行くとホウの木の下でトゲトゲの出た実を拾うことがある。
2015/03/23 (Mon) 23:49


not は文を否定するもの
not は文を否定するもの
2015年3月20日(金)裾野市民文化センターにて  「山焼き」
 箱根・仙石原に「台ケ岳」というススキの観光名所があるでしょ。ここで恒例の「山焼き」があるというので見に行った。横浜国大の先生が監修して町の青年団中心に実施される、と仙石の友人が教えてくれた。奈良「若草山」の山焼きも有名だけど、ここにもおおぜいの見物客が朝から詰めかけていた。広大な斜面と湿原のススキがよく乾燥していて、わずか2時間くらいで燃え尽きて真っ黒な坊主頭になってしまった。
 2年EC君は前回、金城学院大の和訳で Paper was not made in southern Europe until about the year 1100. を「紙は・・まで作られなかった」と訳したけど、否定のnotは「文否定」だと教えたよね。つまりここでは「動詞」madeじゃなくてuntil以下に「焦点」を当てて訳すのが正解だ。「・・作られたのは1100年頃以前ではない。」つまり「・・以降のことだ」の意味。例えば He is not happy just because he is rich.も「金持ちだから幸せでない。」ではフツウは変だ。notが「文否定」の副詞だとわかれば、「金持ちという理由だけでしあわせ、ということではない。」ここでもbecause以下に「焦点」が当たっているんだね。今日は久々に和文英訳で東京外語大の問題に取り組んだ。
 3年TA君は前回、入試の長文問題に取り組んだが神戸大も茨城大も中央大も難しかったね。辞書を上手に使う練習もしておくと大学で役に立つよ。今日はお母様がお迎えがてらご挨拶に見えた。今後も英語の勉強の刺激になるように、いつでもUG会に顔をみせてください。
 YAさん、今日は「TOEFL」の練習問題を2題やってみた。ITP版といってペーパーテスト形式で、上智大が中心になって日本の大学が団体で受験できるようにオリジナルを編集し直したものだ。しかしTOEFLだから語彙レベルが高くてそれなりに難しいね。前回、早稲田大「バードウォッチング」は90%正解だけど和歌山大「夢とは?」はカンマが多用されて難しかったね。True dreams differ, therefore, from day-dreams, reveries, castles in the air, etc., /in occurring, by definition, during sleep and in being experienced as though they were sensations, /without any awareness, while they are occurring, that they are being made up by the dreamer himself. と一文に11個もカンマがあるね。differ from A in B 「Bの点でAとは異なる」が読み取れれば、A and A’になっている in occurringと in being experienced 以下を接続的に訳せばいい。
 スラッシュ(/)で示したようにwithout以下も追加的に訳せばわかりやすい。「従って、本当の夢が白日夢とも空想とも砂上の楼閣などとも異なる点は、定義上は睡眠中に起こるということと、まるで感じ取ったものであるかのように夢が経験されることだ。夢が起こっている間は見ている本人が自分で作り上げているという意識もなしに。」「カンマ・カンマをカッコ」に入れてawareness that・・とつなげば「同格」のthatと気がつくね。
 大学生SUさんが出席して同じTOEFLの模擬テスト第4課をやってみた。「米国の都市ボルチモア」がテーマで、タバコ、造船業、コムギの製粉業による町の発展が描写されていた。70%正解が出せたから合格だ。TOEFLを目指す人は、米国の歴史、産業、文化などに特別関心をもって勉強するといいね。米国留学したい人のための試験だからね。 尾上

(追記)まだ3月中旬なのに汗だくだくで「金時山」に登った。「暑さ寒さも彼岸まで」というから、もうそろそろ寒の戻りもないだろうけど、箱根でもいきなり18℃まで上昇してビックリ。途中に水はけの悪くぬかった道があるので今回も長靴で正解だった。前回は凍結していたのでスパイクつきだったが、今日はまったく普通のナガグツ。
 しかし下りではよくつま先を痛める。「金時山」ではドライブのついでにスニーカーで登る人も多く、靴底が薄いから着地点のデコボコが足裏に当たって痛い。つま先もゴムや布一枚の薄さで岩にぶつけたときには爪が出血して真っ黒になることもある。私は皮膚科で爪を剥いでもらい生えかえるまで何ヶ月もかかる経験もした。
 スパイクつきの長靴は「カインズ」に行けば見つかるよ。冬場は家の周りもよく凍結するのでふだんからこれを愛用している。「金時山」山頂近くの急斜面や「富士山」にソリ滑りにいくときも重宝している。よく「山小屋」で一緒になるYOさんは御殿場「ホートク」肉店の社長。「金時山」2500回を越え、「金時娘」と親友で同じく80歳を越えた。彼女も同じ「スパイクつき」長靴の愛用者だ。
 私は大学生の頃から長靴が好きだった。大学の授業に晴天でもよくはいていったし、アルバイトでロシア合唱団の通訳をやり「ホテル・ニューオータニ」に宿泊した数日もこれだった。尊敬する言語学の「徳永康元教授」が愛用していた影響だ。先生に高田馬場のご自宅に招いて頂いて本棚に囲まれた書斎に感動したり、先生が兼務で「早稲田大・第二文学部」の夜間講座に出ておられると知ってこっそり聴きに行ったこともある。
 本当は重いけれどがっちりした登山シューズが一番いい。私の愛用は新宿の「石井スポーツ」で薦められたAKUというイタリア製で「北岳」や「白馬岳」の時に使った。7,8月の登山シーズンでも3000mを越える高山では大きな雪渓が残っている。凍結した斜面で「アイゼン」という滑り止めの6本歯のついた金具を靴底に縛り付けるにはこれだ。
 私はもう一足、ADIDASのトレラン(Trail Running=登山道を走り抜ける嫌ワレモノ)用ももっていて使い分ける。御殿場アウトレットで安く買えた。軽いからハイキングの時、石がゴロゴロしていない緩やかな山道や舗装路が多いときに使う。サイクリングの時も足にフィットしてこれがお気に入りだ。
 ADIDASといえばジョギング用のも気に入っていて黄・緑・紫の3色。同じアウトレットにあるNIKEよりずっと色使いがいい。これは海外旅行に携行して、宿泊した大都市のホテルの周辺を早朝走り回った。バンコック、タイペイ、イスタンブールなど思い出深い。ニューヨークの地下鉄では若者たちにジロジロ見つめられたなあ。
2015/03/20 (Fri) 23:27


後文は前文とどういう関係になっているか
後文は前文とどういう関係になっているか
2015年3月16日(月)三島商工会議所にて 「クロッカス」
 毎年3月には新会員募集のため、朝刊に折り込み広告を依頼している。今回は「企業ニュース社」の今週21日(土)版に合併広告で載せて貰うことにしたので、小さいけど気づいたら見てください。春期講習の案内も併記したよ。今日はいつものようにピンクのプリントで「4月・5月」の予定表を、黄色で「春期講習」の申込書も配布した。君たちの口コミで友人や高校の後輩たちにUG会を紹介してくれるとうれしいな。
 3年YAさんは前回、和訳にまた進歩が見られた。一文がとても長いときはカンマがなくても節の切れ目で適切に区切っておくのだ。接続のさせ方がむずかしいが、とてもわかりやすくなるし英文の論理の展開にも沿うことになる。入試問題のシリーズもちょうど切れ目がついたので、次回はTOEFLの実践問題に挑戦してみよう。4月に大学のクラス分けでよく利用されるから。
 MA君は前回、神戸外語でnot always「いつも〜とは限らない」(部分否定)を見落としたね。早稲田の「自然はその魅力をつぎつぎ見せてくれる。」の和訳はとてもよい解答だったよ。今日は早稲田、和歌山大の和訳をやってみた。次回はご希望だからTOEICの練習問題をやってみよう。4月早々にテストがあるようだから。
 2年KOさんは前回、動名詞のイディオム表現を含む英文の和訳をやった。添削してみると数箇所の訂正を除いてとても立派な訳ができていた。今日は「無生物主語の文」をやった。愛知大の「ソクラテスはなぜ賢人か?」を読んだ。文と文がandやbut, orなどの接続詞なしでつながっている時には、or「すなわち」とかfor「ナゼかというと」という接続詞が省略されていると考えよう。
 TACさんは73・74課「否定語なしの否定表現」で、far fromと free fromがどう違うのか勉強した。 This is one of the reasons that Japan has not been really esteemed by the rest of the world. ここのthatはwhy とおなじで関係副詞の働き。 The rest of 〜「〜の残りの部分」だから「世界のほかの国々」ということ。
 TAYさんは前回、学習院大の8行に及ぶ長い1文の和訳にはてこずったね。この後半を見てみると、・・・ I have seen cruelty, persecution, and superstition rapidly increasing until we have almost reached the point where praise of rationality is held to remark a man as an old-fashioned person regrettably surviving from a past age. 「残虐さ、虐待、迷信が急速にふえてくるのを私は見てきた。そしてついには〜」というように、untilの前にカンマがある時と同じように、連続的に和訳するとよい。is held to〜「〜と考えられている」に注意して、「理性を賞賛するなんて、ある人を過去から残念ながら生き残っている昔気質の人だと烙印を押すことだと考えられるような、そんな地点にまで我々はほぼ来てしまった。」春休みの用で次回はお休みするというので、2回分のプリントを自宅でできるように課題とした。 尾上

(追記)法事で埼玉県西部の毛呂山町に始めて行った。関東平野の西の外れでここから山梨県にかけて秩父・奥秩父の山々が始まるところ。付近では「越生梅林」が有名でハイキングコースに恵まれている。東京・八王子から群馬県高崎まで南北に走る「JR八高線」に乗ると中間あたりに「毛呂」の小さな駅がある。「ユズの里」というくらいの小さな人口2万の農村が、最近首都圏のベッドタウンに成長してきたらしい。  
 ところがここは大学町でもある。明海大、城西大、日本医療科学大があり、街中の「武蔵野霊園」の高台から見渡すと埼玉医大と付属毛呂病院の高層ビル群がひときわ目につく。30年前に逝った義兄はこの附属病院の外科医師だったのが縁でここに墓地を求めた。そこで先月亡くなった義姉の納骨式をやるというので厚木から開通したばかりの圏央道を走って「鶴ヶ島IC」経由でかけつけた。
 ここはさらにゴルフ場もいくつかある。首都圏からみると関越道沿いで絶好のロケーションなのだろう。法要が始まるまで時間があるので「鶴ヶ島GC」に行ってみた。毛呂病院の西方の山間部にある由緒あるゴルフ場で、芸能人が40も50も写真入りで紹介されていた。義兄もここでクラブを振ったらしい。
 私のゴルフは30代前半の島田時代に遊びでやったくらいでヘタクソ。それも知人が経営するゴルフ場が休日の時に招待されて、夏休み中などに友人とカートを自分で押して回らせて頂いた。今は時折「レストラン」だけを利用して広々としたグリーンを見ながら食事が楽しめるのが気に入っている。これがなかなか安くて美味しいのだ。
 ゴルフクラブのロビーにはゴルフボールやウエアなどのほかに、ちょっとしたその土地のおみやげも売っている。遠来のゴルフ客が仕事上のつきあいとはいえ一日遊んだ後、奥さんへの罪滅ぼしに買って行くのだ。女性もいまでは普通にみかけるとはいえ、やはりここは男たち中心の社交場だ。ゴルフの前後には囲碁をうったり温泉に入ったりする。
 不景気で閉鎖するゴルフ場もあるなかでこのGCはなかなか繁盛していた。昼食の時間だからおおぜいのプレイヤーで2Fは満員だった。ゲームの合間だからメニューは比較的シンプルだ。母校・甲陽学院の東京組同窓会も毎年1回、夏には「奥蓼科」でコンペを開いているが、旅行ついでに食事会にだけ参加したことがある。
2015/03/16 (Mon) 23:39


前文を受けるthisは「このこと」that「そのこと」
前文を受けるthisは「このこと」that「そのこと」
2015年3月13日(金)裾野市民文化センターにて 「熱海桜」
 YAさんは前回、法政大の問題で‘Civilization cannot survive without adventure,’ said Whitehead; but that is because・・では 逆接but の働きがつかみにくかったね。後文が前の文と逆のことを言っているはずだから、ここではthat を単に「それ」と訳したのでは通じない。少なくとも「そのこと」つまり前文のどの内容を受けているかを明確にしないといけない。ここでは「文明は冒険がないと生き続けられない、とWhitehead氏が(絶望的に)言ったこと」を指す。「しかし、少しは冒険者がいるよ。」という希望が見えるから。今日は早稲田や鳥取大の和訳でdeprive A of B(AからBをうばう)を用いた構文の和訳をやった。
 TA君は神戸大の長文問題をやってみた。But can we really be so sure what it is that our eyes tell us? 前半は「本当に信じることができるだろうか」。後半は 少々込み入っていてwhat our eyes tell us(眼が私たちに教えてくれること)で 関係詞のwhatを強調したかたちだ。
 YU君は今日いつもの英文和訳をやってから、東大の要約英作文をやってみた。「死に対して人間の抱く恐怖とは?」の題の日本文を英語で50〜60語で要約する問題だ。
 2年KAさんは「強調」の構文をいくつか勉強した。動詞の強調にdo, does, did(本当に〜する)やthe very 〜(まさにその〜)など。「強調構文」では文の一部を切り取って文頭に引きずり出すと、It is 〜 that・・で、日本語では切り取って文尾にまわすから「・・なのは〜だ」となるね。切り取って文を作るので「分裂文」と呼ぶのが正式なんだ。
 EC君も「強調」がほぼ理解出来ていた。和訳では後半の受け身の分詞構文に着目できると良かったね。 If it were not for the twin forces of curiosity and discontent, man would still be living in caves and bush shelters, inadequately clothed in crude skins. は仮定法の動詞に気をつけて、「好奇心と不満という二つの力がなかったら、人間は今でも不十分な毛皮を身にまとって、洞窟とか藪の茂みの中で暮らしていることだろう。」
 KI君も「強調」の和訳をやった。 Computers had existed for years, but ・・では、「コンピューターは何年も前から存在していたが・・」と訳せばよい。 尾上

(追記) 昔の同僚2人とその夫婦とで「熱海自然郷」別荘地に行った。通りがかりの「熱海梅園」はもう梅祭りも終わり、「頼朝ロード」の熱海桜も散り始めて葉桜になって道路沿いはナノハナの黄色が鮮やかだった。
 6人の誰かが「還暦」とか「古希」を迎えるとそのお祝い会を続けてきた。今回は私の「古希祝い」なのに自分で計画を立てたよ。昔買っておいた別荘地が建設予定が立たずにまだ原始林の急斜面のまま。しかし、敷地内に「自然郷」のオウナーだけが利用できる新築の「集会場」が昨年完成したので、ここを別荘代わりに利用して「手作り料理の食事会をやろうよ」という提案。ここは町の公民館より充実していて、宿泊は出来ないが一日貸し切って「カラオケ」三昧もOKらしい。
 今日は「サークル室」と「調理室」を使って「パーティ」だ。大きなガラス張りのテラスから真っ青な太平洋と初島を遠望しながら別荘気分を味った。HO夫人手作りの中華料理・サラダに加えて私の自家栽培「コシヒカリ」を炊き、自分で漬けておいた「水かけ菜」をふるまった。御殿場の中華「五竜」で買ってきたギョウザもITの鉄板で焼いたら大好評だった。YAさん自慢の食前コーヒーと食後の紅茶もおいしかったよ。
 御殿場南高で一緒だったYAさんは元社会科・地理の先生で韓国・光州市の生まれだ。長崎・佐世保市の出身で、三島の「見晴台」に見晴らしの良い瀟洒な家を構えている。御殿場の我が家にもよくつれて遊びに来た次女の裕子さんは、京都外語大でフランス語に堪能となり、スイス留学後アメリカ人実業家と結婚し今はパリに住んでいる。お父さんが世界中を知り尽くした旅行家だからその血筋かな。
 最後の11年を勤務した沼津東高では同じ英語科のHOさんと仲良くしていただいた。沼津香貫のご自宅で空手道の道場をもつバンカラな(?)師範でもある。韮山高校の空手部を全国大会に連れて行った輝かしい実績をお持ちだ。なんと北の果て北海道・北見北斗高校の出身で、ご兄弟が京都大の教授という血筋もすごい。長野県の「入笠山」の麓に素晴らしい山荘をもっておられ時々訪問させていただく。すぐ近くの「スキー場」で一緒に滑ったこともあるよ。最近はピアノ教師の奥様と一緒に合唱団で歌っているそうだ。へえー!
 二人とも早稲田の出身で「稲門会」という同窓会に所属している。外語大に行った私も実は早稲田「商学部」に合格しているから、卒業してれば会員のはずなのに。で、昔から3人の仲が良く教師の時代からよくYAさんはテニスの集まりの音頭を取った。今も三島在住の教師たちで続いている「南庭会」という同好会は私の命名なんだけど、この10年ほど私は「山登り」に転向したので最近はまったくラケットを振る機会がない。こんな多趣味で行動派の夫婦2組と私たちは気のおけない家族ぐるみのおつきあいだ。いつまでも大切にしたい。次の「喜寿の会」や「傘寿の会」までも(生きてればね)。
2015/03/13 (Fri) 23:59


後期試験が近づいた
後期試験が近づいた
2015年3月9日(月)三島ゆうゆうホールにて 「ユキワリソウ」
 自転車で東山湖を一回りして「秩父宮公園」に行ったら前庭にユキワリソウがたくさん咲き始めていた。白、ピンク、紅、紫など色とりどりに。早春一番のキンポウゲ科のミスミソウのことで、高山で6月に咲くサクラソウの仲間のピンク色のユキワリソウとは別物らしい。野の花がひとつづつ咲いて春の訪れを告げる。
 MA君が復帰して12日の国立後期の試験を目前にガンバル。大学ではすぐに英語のほかに外国語がもうひとつ必須になる。単位取得のためだけでなく、将来の就職試験や大学院進学のためにも外国語が必ず要求される。大学では各講座とも週に1回しかないから、力を伸ばすには自主努力が必要だ。UG会でもうしばらく頑張ってね!
 TA君は前回、亜細亜大の「会話文」の質問にすべて正解が出せてすばらしい。英作文や語句の並べ替えが苦手だから英文の構造にはもっと注意するといい。「〜してもらいたい。」は、命令文+pleaseでもいいし、I want you to 〜とかもっと丁寧にI would like you to 〜という。
 2年KOさんは英文の読解力がかなりあるね。前回、福島大の和訳では Some of them I have visited again and again during the course of twenty years but never without seeing ・・・は逆接のbutとneverの前後に何か省略されているね。・・but I have never visited without〜 は二重否定の文で「〜せずには訪れたことがない。」だから、「訪れると必ず〜した。」となるね。
 TACさんは否定の慣用表現をやった。 I did not meet her until yesterday. は前にもやったように not が文否定とすれば、「彼女に会ったのは昨日より以前ではない。」となるよね。それを英語でも「強調構文」で表すと It was not until yesterday that I met her. 「昨日になってはじめて彼女にあった」となる。一方 It will not be long before the next election begins. の it は「時間」を表し「次の選挙が始まるまでそう長い期間ではないよ。」つまり、「もうすぐ始まるよ。」の意味だ。
 TAYさんは期末試験がおわり、落ち着いて「比較構文」に取り組んだ。どの問題も正解が出せた。岩手大の「ジェームズワットの蒸気機関の発明」も十分読み取ることが出来たね。助動詞の wouldやdidにも十分注意が払ってあった。
 SUさんにプレゼントした昔の週刊誌「ニューヨーカー」が気に入ったようで、「先生、ここにチョムスキー(言語学者)の話を書いた記事を見つけたよ。」と、私を喜ばせてくれた。最新の記事も読んでもらおうとネットからのコピーをあげた。「教養のない鼻」という面白い記事。人間言語に「臭い」「香り」を表現する語彙がきわめて少ないのはナゼ?一つには、視覚や聴覚のほうが優先されて嗅覚の出番が少ないから・・(?)今日のTOEFLは「珊瑚礁の漂白化と地球温暖化の関係。」の話。頻出する語句Coral Reefを知らなかったから始めはなんの話やら。語彙のレベルもとても高いけれど、4択の設問がなかなか巧妙で、いつも正解に近い答えが一つ併記されていて回答者を惑わす。 尾上

(追記)大学を卒業した昭和42年、私は「教育心理学」の単位不足のために教員免許がまだ取れず、外語大に「聴講生」の制度を利用して再入学して7月に静岡県の採用試験を受けた。合否の発表前に「吉原高校」の浦辺校長から呼び出しがあって「9月から常勤講師をやってほしい」とのことだった。
 普通はまず非常勤講師に採用されて英語だけ教えればいいのに、ベテランの英語の飯塚先生が夏休みに突然退職されて、その仕事をすべて任されたから大変。高校教師は一人4役以上だ。「学年」「教科」「分掌」「部活」の4部門をすべて受け持つ。先週まで大学生だった自分がなんの練習もなしにいきなり授業開始となった。要領がわからず何でもかんでも教えようとして、リーダーが1時間でたった7行しか進まなかったのを思い出す。英語の星野教頭に「丁寧なのはいいけど、進度が遅れるよ。取捨選択しなきゃ・・」と指摘されたなあ。
 前身は「吉原高等女学校」といってここは「三島北高」「沼津西高」と並ぶ東部の名門女子校だった。(今では3校とも男女共学に変わったけど。)朝出勤すると職員室の机の上にはいつも花瓶に花が挿してある。ほかの先生に尋ねると、「それぞれの先生にファンの生徒が決まっているらしいよ。花を生けにかなり早めに登校してくるんだ。」と。下校のとき私の靴箱の中にメモ紙を投げ込んでいる子もいた。大学を出たばかりの若い先生だからきっと憧れたんだね。
 午後授業が終わると全員体操着に着替えて木造校舎の床磨きをやった。校長が体育の先生だから「ていねいな清掃活動」でも有名な学校だった。校舎は岳南鉄道の「吉原本町駅」から坂を登ったところにあって、たくさんある製紙工場のガスの臭いが立ちこめて最初はすごく気になった。我入道の叔父の家に下宿させてもらい、始めの数ヶ月は沼津駅から電車で通った。
 2ヶ月目に文化祭があって、英語部顧問として「英語劇」の指導を頼まれた。大好きなシェークスピア「ハムレット」の「オフィーリア狂乱の場」を選んで2年生部員に一人芝居をやらせたらとてもうまくいった。大学時代、ロシア語劇の演出をやった経験が生きたらしい。2年生の副担任だったから秋の修学旅行にも引率で行った。アルバムをめくると四国の「栗林公園」や「彦根城」で撮った記念写真が残っていて懐かしい。
 3ヶ月目には教員組合のストライキというものを目撃した。「主任制反対闘争」だったと思う。「〜課主任」に手当をだして中間管理職をたくさんつくり、上命下達の組織に変えようという制度だった。明るく意欲的な生徒たちに囲まれて、いつも家庭的な雰囲気の職員室が突然敵味方に分断されたような数日間だった。
 女子校で始まった波乱に富んだ新米教員の1年目はわずか半年で終わった。正式に県立教員に採用になり、翌年4月から東伊豆の「稲取高校」に赴任することになって、乙女たちの花園から島流しにあったような寂しさだったなあ。
2015/03/09 (Mon) 23:43


無生物主語の構文に注意
無生物主語の構文に注意
2015年3月6日(金)裾野市民文化センターにて 「熱海・初島」
 志望校に合格して卒業式も終わった3年生が3人、今月もUG会に出席して勉強している。純粋に学問に立ち向かう姿がすばらしいね。こういう時期こそ蓄えた力を発揮して英語が本当に楽しめる。わたしも教えていて実にたのしいしうれしいよ。
 YAさんは不定詞・分詞・動名詞の文法問題をやってみた。茨城大の長文で But for millions of people the opposite is the case. は「しかし何百万の人々にとっては(上で述べたことの)その逆が実情だ」という意味。前回は明治大「ガラスの有用性」の和訳に少々手こずった。 A two-inch cube of glass would be strong enough to hold up a heavy freight car, ・・助動詞のwouldが使ってあるね。内容を見ても非現実的な話だから「仮定法」の動詞と判断して、「もし〜なら・・・だろうに」と訳したい。「一辺2インチの立方体のガラスはもし重い貨物列車であっても一両支えられるくらいの強度があるだろう。」 a cube of glass は「立方体のガラス」で a piece of 〜、 a large number of 〜やa bit of〜と同じように次の名詞の数量を表す。一方、the number of〜ならtheは「限定のthe」と呼んで、「〜の数」のように後から修飾する働きだ。
 YU君も前回、同じ明治大の和訳・・, though such an experiment would almost certainly destroy a similar cube of practically any other material. では助動詞のwouldに「仮定法」を感じ取って「そのような実験をしたなら、同じような立方体のほぼどんなほかの物質でもほぼ確実に砕けてしまうだろうが。」と訳せるといいね。今日も滋賀医大の入試で自由英作文にチャレンジした。「患者の個人情報を警察といえど医師として漏らして良いかどうか。150語で自分の意見を書け」という難しい問題。
 TA君は文の切れ目の問題が難しかった。カンマがなくても前置詞や接続詞の前は切って読むのがふつう。動詞・助動詞の問題は難しいけどとても大切。
 2年生に今日から新人のKAさんが加わった。学校でもやったようなので、さっそく「無生物主語の構文」をいくつか勉強した。 A(物) makes B(人)〜 が基本形で「物が人を〜にさせる」という構文。そのままでは日本語にするとおかしいから、「物のために人は〜になる」と訳すとよい。make 以外に bring(来るようにさせる)、remind(思い出すようにさせる)、enable(できるようにさせる)、prevent(〜できないようにさせる)など。主語が人ではなくて物なので、それを「理由」(〜なので)とか、「条件」(〜ならば〜)として訳すとよい。KI君もEC君も同じ項目を勉強した。 尾上

(追記) いい温泉に入りたくて東伊豆の「網代」に行った。いつもの山仲間のトレッキングに南熱海の「玄岳」(くろたけ800m)を計画したのでその下見を兼ねて家内とドライブ。「伊豆スカイライン」の玄岳ICあたりからはすばらしい展望で、眼下には小さな湖「氷ケ池」があるではないか。空もよく晴れ渡って「富士」とその広大な裾野の大パノラマ、駿河湾の海岸線も一望の下だ。東京や千葉に住む仲間たちはきっと大感激だろうな。
 熱海桜が見頃になった静かな和風旅館で立ち寄り湯を楽しんだ後は、夕食をとりに海岸に面した「磯料理」のお店へ。今夜は「イカ釣り船」の照明が沖合に見えないけれど、窓から夕暮れの真っ暗な海を見ていると「ふるさと稲取」の懐かしさが蘇ってくる。独身と新婚時代の2年間だけだが、「東伊豆町」での生活はまるでメルヘンの世界だったなあ。
 すぐに思い浮かぶのは「稲取高校」で初めて担任したクラス、漁師町の素朴な多彩な生徒たち、「夕鶴」や「青い鳥」の英語劇に徹夜で燃えた部活、ほぼ独身者ばかりの若い職員室、夏休みに同僚と登った「奥穂高」や「日光」の山々、生徒を引率して「熱川」の教習所でもらえた運転免許、初めて買ったトヨタの赤い中古車「パブリカ」、生きたタチウオや金目鯛・あわび・伊勢エビとの出会い、隣のホテル女将の「土葬の葬式」で棺桶担ぎをやった(!)、などなど。そして稲取港「黒根岬・カフェ」での結婚披露パーティに集まってくれた友人と教え子たちの顔・顔・顔。
 半年だけ勤務した吉原高校からこの稲取高校に転任してきた時は、熱海から伊東線に乗り換え伊東で伊豆急「下田」行きに乗って、ずいぶん時間がかかったからまるで「島流し」にされたような寂しい気分だった。切り立った崖の多い東海岸に伊豆急が開通してまだ5、6年だったと思う。トンネルばかりの難工事だったようだ。それまでは「東海バス」が「伊東駅」から「下田」まで未舗装のせまいホコリの道を走っているだけで、稲取も陸の孤島だった。しかし、稲取駅は「夏みかん」の畑の真ん中だから、ホームに降り立つとプーンと甘酸っぱい花の香りに酔った。まるで「桃源郷」のようだったなあ。
2015/03/06 (Fri) 23:39


春休みは英語の飛躍のチャンス!
春休みは英語の飛躍のチャンス!
2015年3月2日(月)三島ゆうゆうホールにて 「フクジュソウ」
 今日はどこも「卒業式」だった。昨日の冷たい雨もあがって青空が戻ったから暖かな春めいた一日だった。裏庭に回ったら黄金色のフクジュソウ15輪全部が朝日を浴びてキラキラと満開だった。ハクレンのつぼみもふくらんで銀色の衣が光っている。ただ目がかゆく、クシャミがとまらないのが憎いこの季節。
 2年TACさんは「否定構文」に入って、「部分否定」と「否定の慣用語法」not A but Bと not only A but also Bを勉強した。部分否定と呼ぶ文の特徴は、「100%」の意味の語句6つのどれかを含むこと。覚え方は1、every 2、both 3、all 4、always 5、necessarily 6、quite がnotの「焦点」になっているとき、「すべて・・だ、という訳ではない」と訳す。コツは、肯定文として和訳してから、最後にその文全体を否定すればよい。
 KOさんも期末試験が終わって出席した。73,74課で「否定語を含まない否定表現」を勉強した。 前回、「否定構文」が2つ出来たので昔の「接続詞」構文にも3つ挑戦した。一般的にはman はmankind に近く「人間」、a manはa personのことで「人」と訳すとよい。「男」の訳はwomanが登場するときのみだ。和訳の力はかなり高いので楽しみだ。少しずつ弱点を補強していこう。センター試験の和訳で So whenever possible, food should be prepared quickly and the cooking water used rather than wasted.  ここで接続詞andがつなぐものは?the cooking waterと前方のfoodらしいし、usedは過去分詞形でpreparedと並列しそうだからここはshould beが省略されていると考えるところだ。「だからもし可能なら、食物はすばやく調理した方がいいし、調理に使った水も捨てないで利用した方がいい。」
 裾野のEC君も期末が終わってこちらに出席。79・80課で「名詞構文」を勉強した。名詞がそれに相応する「動詞」や「形容詞」が想像できるとき、SVOを備えた「文」として組み立て直して和訳すると、よい日本語になる。たとえば、 People’s lives have been changed because of the immediate spread of news. は「ニュースの即座のひろがりのため」のように、名詞spreadの前後にたくさんの修飾語が加わって、「の」がたくさんあって煩雑になりそうな場合は、それを動詞と見なして「ニュースが即座にひろがるために・・・」と和訳した方が平易でわかりやすいよね。
 TAYさんはこれから期末テストがはじまるのでテスト勉強に専念した。「語句並べ替え・英文完成問題」が苦手だというので少し説明した。・・・「単文」はSVOCという@「平叙文」の配列を基準にして、助動詞が文頭に出るA「疑問文」、動詞の原形で始まるB「命令文」、強調したい語句にwhat やhowがついて文頭に出るC「感嘆文」というように、一部の語句を「移動」させて3つのバリエーションができあがる。しかし「複文」となると、この文の前後に「従節」が追加される。それはすべて 「接続詞」+S+V+O の語順であって上記のABCのような「移動」はない。必要に応じて「接続詞」のかわりに「疑問詞」や「関係詞」も置くことが出来る。TAYさんもそろそろUG理論で英語の仕組みが理解できるレベルかな。すこしずつやってみよう。
 大学生のSUさんは春休みのアルバイトにコンビニ店員をやっても外人と英語で接する機会少ない、と嘆く。家庭教師もやっていて、「中学生に興味を起こさせるのによい教材は?」との質問に応えて、高校1年用のカラー写真入りの短編集を貸してあげた。ちょっと難しいけど「やりがいがあるから」教えるのも楽しいよ。今日もTOEFLで「振り子の原理と応用」を読んだ。70%以上正解だから合格!来年度の選択科目にチョムスキーの「言語学」をやってみたら?SUさんの大学にもUG理論専門の教授がちゃんといるんだから。 尾上

(追記)雨の日曜日、家内を乗せて三島の「佐野美術館」に行った。「桃の節句」を前に「花のお江戸の雛かざり」展を開催中だったが、そちらには寄らず、隣接の日本庭園に面した純日本建築の「隆泉苑」で、「聞香の会」(つまり、お香を聞く会)に出席した。貴重な「香木」を焚いた香りでその違いを当てるという優雅なあそび。平安時代・宮中でさかんになった遊びで、次第に武士階級のたしなみに変化し、江戸時代には町人文化の中に生き続けて今日に至る長い歴史をもつ、「安藤御家流」という流派の集まりだ。
 武家屋敷の様な玄関をあがると、廊下のガラス戸の向こうには池の周りに紅梅・白梅が見事に咲く。一番奥の部屋に通ると「書院の間」で、床の間には桃の花の掛け軸が架かり、「流鏑馬の武者人形」や「橘と紅葉」などが飾ってある。季節柄一対の「お内裏びな」を中央にすえて、着物姿の師匠と5人のお弟子さんたちが揃い、私たち20人の参会者が正座で囲んでいよいよ「聞き比べ」の始まり。5種類の小さな「香炉」が回ってきてそれぞれの異同を当てるゲームだった。提出した「聞香札」が家内は当たり1枚、私は2枚だった。前回、沼津の「御用邸」で「源氏物語」にまつわる聞香の会にも参加したが、その時家内は唯一の全問正解だったから今日は残念。
 家内の「香木探し」に日本橋の三越までつきあったこともあるが、とても高価な物でおいそれとは買えない。第一の香木といえば、織田信長が秘蔵した「蘭奢待」(らんじゃたい)が有名。原木は「伽羅」の樹脂化したもので、東大寺の「正倉院」に残る御物だ。
2015/03/03 (Tue) 0:24


男の魅力はアゴの線?
男の魅力はアゴの線?
2015年2月27日(金)裾野市民文化センターにて 「コクーンタワー」
 昨日はこのブログにアクセス出来なかったね。東京のAlfooというプロバイダーが一日、システムの点検か修理をしていたようだ。こんなことが時折あるね。・・・早稲田・慶応も終わり国立前期も入試が終わって、受験生はほっと一息の時期かな。来週はいよいよ「卒業式」だけど浮かれてはいられない。2週間後に後期試験が控えているから、油断せずに勉強を続けるべきだ。さらに、大学の授業が始まるまでの1ヶ月余りをどう過ごすか、も大事なこと。
 YU君は前回、慶応大学・医学部の自由作文に挑戦した。「自分の意見を70語で書け」は苦労したね。3つか4つの文で平易な書き方で良かったが、「医者なんかいなくても自分で気をつければ健康を維持できる。」と書いては君が医者を目指すなら不適切な意見だね。本文につられて何でも賛成ではいけない。常に「批判的に読め」ということ。今日は東大の「地球温暖化」を示すグラフについての意見を書かせる問題だった。「温暖化」を鵜呑みにしてはいけない。何事も「批判的に読め」が鉄則だ。この種の問題をもうすこし練習しよう。
 TA君は英作文をやってみた。「言われたことは、しなければなりません。」日本語に表れない「主語」を決めるには、発話のシチュエーションをイメージすること。一般的には「相手に伝える」内容だから I よりも You がいいね。そして一般論と考えればすべて現在形でよいから、You must do what you are told to do. 残りのプリントを宿題にするので、家でやって次回提出すること。
 KI君は今日期末テストが終わり、卒業式やら高校入試やらで学校が休みになって部活もない。日頃やり残した和訳と英訳のプリントがたくさんあるから是非このチャンスに片付けて欲しい。今日は「名詞構文」を勉強した。ここはとても大切な項目で、今後の英文理解にたびたび登場するはず。前回は「同志社大」の和訳が難しかった。カンマカンマはカッコだから省略すると、 Some have very obvious meanings; others do not appear to mean anything at all, and are accepted simply as names.ここで Someと othersは共に surnames(姓)の省略で よく見るpeopleではない。セミコロンは前文と後文を対比させているから「一方」と訳しておこう。 andは動詞のare acceptedと前文の動詞do not appearを並列していると見ること。ちなみにappear to〜は「〜のように見える、〜らしい」の意味で、既知のseem to〜と同じこと。It seems that〜はIt appears that〜ともいうよ。
 SUさんが一番最初に登場した。今日のTOEFLの問題「雌の孔雀は雄のどこに惹かれるのか」を読んだ。「それじゃ人間の女も男をどこで選ぶの?」の研究もあって、一つの答えは「アゴの線」だそうだ。つまり「肉食系」かな?男性諸君!アゴを鍛えようぜ!英国BBCの切り抜き「どれくらい寝ないでいられるか」と、「休日になると病気になるのはなぜ?」も用意したので読んでください。私が昔、定期購読していた週刊誌「ニューヨーカー」も一冊あげた。現代の人気作家のエッセイや短編小説がたくさんちりばめられた、私の好きな雑誌です。ここにはプリンストン大学の講師もやった村上春樹がよく投稿していたし、大江健三郎も得意の英文で長男誕生の時のつらい話を書いているよ。 尾上

(追記)先週の土曜日、言語学の講演が始まるまで時間があったので、懐かしい「新宿御苑」に散歩に行ってみた。外人のカップルが仲良くジョギングする姿を見ると大都会NYの中のオアシス、セントラルパークに似た雰囲気だ。ロウバイはもう枯れかけて、お茶室「楽羽亭」の前庭に紅梅白梅が見頃になっていた。お花畑一面にキラキラ黄金色に輝くのは満開のフクジュソウ。池にはオシドリが仲良く泳ぎ、湖面に映る高層ビルは代々木のNTTドコモ。尖塔形のごつい感じがNYマンハッタンの摩天楼を思い出させる。
 芝生の広場をみおろす丘の上に出てみると幟をたてた茶店が一軒。さくらの花びらをあしらったピンクのハンカチをおみやげに買った。「會津」の工芸で「鶴ケ城の桜は会津の人々のあきらめない精神が・・」と記してある。会津は家内の郷里だからきっと喜ぶだろう。おおぜいの人がカメラを向ける先は一本の巨大な「カンザクラ」だった。まだ三分咲きだけど、太い脇枝を四方に広げている見事な枝振りに感動!
 芝生の先の池の畔に中国の歴史遺産のような屋根が反り返った赤瓦の建物が見えるよ。ここは明治・大正の皇室のお庭だった時代、「御涼亭」という名の休憩所だったらしい。なんか見覚えがあるなあ。そうか、ここで遠足の写真を撮ったんだな。3年で転校する前の最初の渋谷区立常磐松小学校のとき、1年生の遠足で来たときの写真が残っているはず。
 家に帰って、もう背表紙も破れた小さな赤いアルバムを見つけ出して開いてみた。「旧御涼亭」を背景に1クラス61名(すごい人数!)の生徒が芝生の上で2列に並んでいる。多すぎて顔が半分の子もいる。後には担任の「大木先生」と3人の付き添いの先生たち。幼子を抱っこしているお母さん方や着物姿のおばあちゃんも一緒に。
 昭和20年5月の「東京大空襲」で焼け残った建物はこの「御涼亭」ともう一つの「御休所」だけだったそうだ。内藤町と呼ばれる新宿のこのあたりには私たちの家もあった。裏側の「千駄ヶ谷」門に近かったが1歳半の頃、つまり焼失の直前、御苑の中をよちよち歩く写真も父が3枚残している。当時は長泉村本宿の母の実家に一家で疎開していたけど、時々はここに戻ってきたらしい。このあたりを「内藤新宿」とよぶ由来は?
 「新宿御苑」の歴史をひもとくと400年前、家康が江戸開府の折に譜代の家臣「内藤清成」に与えた広大な屋敷の跡だったのだ。江戸城の「半蔵門」から四谷を通ってきて甲府に向かった五街道のひとつ「甲州街道」がここで左折した。だからここを昔「新宿追分」と呼んで街道最初の宿場として賑わっていたそうだ。昔からの「高井戸の宿」の手前に出来たから「新しい宿場」で「新宿」となった。
 「追分」とは「牛馬を追って分けたところ」の意味で、そのまま直進すると「青梅街道」で、「淀橋」を渡って私たちが4年住んだ高円寺を通って青梅から大菩薩峠を越えて甲府に向かう。甲州街道より近いので「裏街道」として栄えたらしい。足利時代の下野から鎌倉に向かう「鎌倉街道」も交差していたのでここは江戸城防衛の要であった。
 内藤家の広大な所有地は維新後、明治政府の国有地になってから西洋式の農業や園芸の試験所として活用され、東大農学部の前身もここに置かれたらしい。(後に駒場に移る。今でも駒場の駅の近くに田んぼがあるよ。)終戦後に「国民公園」にかわるまで明治の末期から40年ほど皇室の庭園だったから今でも「御苑」と呼んでいる。近いうちに再訪して西洋式の「大温室」や「洋館御休所」、フランス式の「バラ園」もゆっくり見てみたい。
2015/02/27 (Fri) 23:30


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