昨夜から雨まじりの「春一番」が吹き荒れて、晴れたのに洗濯物が干せないよ。南の風だから気温が一気に10度も上がったらしく、裏庭の「フクジュソウ」が黄金色にキラキラと光って6株も一斉に開いた。春だねえ。
3年MA君は明後日、いよいよ前期試験だ。苦手の英作文を中心に勉強した。前回は英文の書き換え問題に苦労した。 It is reported that two people were injured in the explosion. をtwo peopleで始まる文に書き換える問題だが、高2でさんざんやったIt seems that 〜「〜と思われる」「〜らしい」の書き換えと同じこと。It is said that〜や It is thought that〜、It is believed that〜と同じように、まるで「助動詞」のように節の中の動詞の前に加えればいいのです。 Two people are reported to have been injured〜. というふうに。こういうのを「法」(モダリティ)といって、話者の判断や気分を付け加える働きなのだ。終了後お母様がお迎えがてらご挨拶に見えた。私立は2校とも合格しているので、あとは早稲田と国立が受かるといいね。
YAさんは早稲田の和訳で例の「名詞構文」理解にもう一歩だった。〜 became more and more worried about the effect of man and his works on the environment. では effectがhave an effect on〜(〜に影響を与える)の名詞だとわかれば、「人間と人間のつくったものが環境に与える影響について・・」と訳せるね。
TA君は入試の長文問題を2つ、「若者の集団意識と携帯電話」と「哺乳動物の巨大化」を読んで設問に答えた。いつもよりたくさんの正解が出せたね。残りのプリントも家でやって英語の時間を増やしてね。
2年TAYさんは期末試験の直前だけど前回、35回の残りの和訳プリントに挑戦した。「宮崎大」の I am mystified by people who say they never dream and appear to have no interest in the subject. ではA and A’を見誤ると意味不明になる。ここでは sayと appearが並列だ。 appear to〜はseem to〜と同じく「〜のように見える」だから、「夢なんか一度も見ないという人やそういう話題には興味がないように見える人たちには困ってしまう。」
TACさんは期末テスト対策に専念した。頑張ってね。尾上
(追記)「言語学」の勉強のため久々に新宿へ出た。慶応大学の川原先生による「音韻論」の研究発表だった。内容を具体例で説明すると、「偽狸汁」の読みは「ニセ+タヌキジル」(偽のタヌキ汁)と「ニセダヌキ+ジル」(偽タヌキの汁)の2つある。ここではタヌキの「タ」が「ダ」に変わる時(「連濁」と呼ぶ)にどういう規則が働いているかを立証する問題だ。「シル」は共に「ジル」に変わってるね。
同じ元慶応大の大津教授がUG理論の原理から30年前に見事に説明している現象に、実験者の立場から疑義を唱えようという試み。おおぜいの被験者を対象に実験してみたら、必ずしもそういう結論に達せられなかった、という。大津先生もこの講座の主催者として目の前で受講されているのだが、その手法にかみつく挑戦的なハラハラする講義だった。ICUの出身でまだ30歳代のようだが既成概念に疑問を投げたり、時折独りよがりになったりするから若い学者は面白いね。
音韻論の議論にはしろうとでも参加出来るよ。自分の日本語について考えてみればいい。鉛筆1本、2本、3本の読み方が「イッポン、ニホン、サンボン」とすべて異なっているね。なぜだろう?昔、同僚の国語の先生が小学生の娘にこんな素朴な質問をされて答えられず困った!と言ってたなあ。6本、8本、10本は「ロッポン、ハッポン、ジュッポン」となる。小さな「ッ」で撥ねるときに「ポ」となるらしいけど・・。なんで「ッ」なの?音が「ツマッテ」出ないときの記号かね。
こういう問題を言語の歴史的考察も含めて解明するのが「音韻論」で、言語学が扱う分野の一つだ。さらに単語の研究は「形態論」、文型の研究は「統語論」、文章の研究は「意味論」、そして発話全体を研究対象にする「談話文法」と5段階に分類されている。MIT教授のノーム・チョムスキーを頂点とする世界の言語学者の興味対象は「統語論」で、英語の「SVOC」という文型の研究だ。これを更に人間の脳の働きと関連させて研究している。すべての言語に共通する「文法」は何か?つまり「普遍文法」 Universal Grammar (UG理論)を追求して、今日に至っているのです。
私は大学時代に始めた言語学の勉強を更に深めたくて、たまたま澁谷駅前のビルの一室で開催された「理論言語学講座」に毎晩通った。アメリカの頭脳といわれるマサチューセッツ工科大学(MIT)を中心に広まっている「変形文法(旧名)」という名の「新しい言語学」を日本にも根付かせようと、東大・慶応・早稲田の教授たちが昼間それぞれの大学や院でやった講座を一般にも解放した。私も含めて他大学の学生や教師や企業派遣の研究者が大勢受講した。
大学卒業後静岡県の教員になって20年間のブランクがあったけれど、88年に上記講座に再入学してからは勉強意欲が高じて、50代の半ばになってから「東京学芸大学」の大学院に入学し、ずっと年下の教授たちから素晴らしい指導をして頂いた。「英語史」の児馬修先生は中野区立桃園第三小学校の後輩だとわかってお互いにビックリ。
修士論文のテーマは「無生物主語+SEEの構文」。受験英語でもお目にかかる 1997 has seen two economic developments. これを「1997年が2度の経済発展を見た(?)。」と和訳したらおかしいよね。「世界が」なら擬人法っぽくてまだOKだけど、「日本の努力が」にしたらもっと奇妙だよね。 see という動詞の未知の領域を研究したため、2001年の「英語学会」にも取り上げられ「東大」での研究大会で発表させて頂いたよ。
