女の子はかわいい。女の子は素敵だ。
女の子の裸が見たい。女の子に触りたい。
でも。
本当に触れるには、女の子がいいよって言わないとダメだ。だってそうしないと、彼女を傷つけてしまう。泣かせてしまう。そんなことは許されない。
女の子がいつも笑っていられるようにすることが、男の使命なのだ。
フンフン鼻唄をうたいながらジャガイモの皮むきをしていたサンジの背後から、急に手が伸びてきた。
「てっめェ、何しやがる! 邪魔すんな!」
誰かはわかっている。ダイニングにいたのは緑頭の剣士だけだ。トレーニング後に水を飲んで、そのグラスをキッチンに置きにくる様子も見ていた。それがどうしたわけか、サンジのシャツを引っ張り出して、その中に手を入りこませている。
「おう、おれのことは気にすんな。続けろ」
自分こそ何も気にしていない様子でゾロはそう言う。が、わき腹やらへそやらを触られてくすぐったい。一流コックのサンジだが、皮むきに集中できなくなってきた。
「危ねェだろ! 何でおれに触るんだよ」
相手は仲間の中でもいっとう気の合わないヤツだ。殴る斬るならまだしも、こんなにやわらかく触れるなんて似合わない。
「さァ、知らん。触りたくなった」
ゾロがコテンと首を傾げる様子が、振動で後ろからサンジにも伝わる。なんなんだ、と思っていたら、その手がさらに上へと忍びこんだ。胸の中央でささやかにポツンと尖った先に触れる。
「や、……ちょ、っと、お前!」
悪寒が走り、サンジはジャガイモと包丁を手放した。
「そんなとこ……、何の断りもなく!」
振り返ると、今度はゾロが首を傾げるのがちゃんと目に見えた。
「断らないとだめなのか?」
「決まってんだろ! お前、レディにもそうなのか? だったらオロスぞ!」
今現在の自分のことは横に置いて、サンジはレディのことを考えた。『触っていいだろ?』なんてのもダメだ。あくまでレディの意見を尊重して、レディ自身が選ぶのでないと。
勝手に触るなんて言おうものなら今すぐ蹴りあげてやろうと思ったが、ゾロは「いや」と否定した。
「女には触らねェ」
ほう?
サンジは感心した。イーストの魔獣などと呼ばれていたゾロだが、なんと女性には紳士的な態度をとるようだ。これはなかなか素晴らしい。気が合わないと思いこんでいたが、なんとレディへの態度という重要な課題において、サンジとは気が合うらしい。
「──おま、お、前、すげ……ェな。いい、……ぞ」
よしよし、とお利口な犬を撫でるようにゾロの緑の髪をわしゃわしゃ撫でたサンジは、気づいていなかった。
ゾロの手が今度は下に伸びて、あらぬところを触っているとか。
なんだか着ているものがどんどん肌蹴ていっている、とか。
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帰りの電車でふとおもったこと。


