学校を後に次の現場に向かう頃には日差しもあり、天気予報に反して野外でのイベントも無事行えるのではと思ったが、もしもの配慮からコンサートは屋内ですることになった。
簡単にリハーサルを済ませ、一旦帰宅してシャワーと夕食を済ませて再び会場へ。
例年1,000人を超える人が集まるというこの地区自治会主催の月見のイベント、焼き蕎麦などの美味そうな香りがあふれる会場は、家族連れを中心に沢山の人で賑わっていた。
午後7時を過ぎ、本番直前になってもまだ雨は降らず「外でも大丈夫だったよな〜」という小さな寂しさを押さえてステージへ。
コミュニティーセンターの限られたスペースはたちまち満員になり、入り口や窓の外にも沢山の人が群がるようにして歌を聴いてくれた。
そして大きな拍手に送られて、がん患者支援イベントのリレーフォーライフが行われている会場へ向け出発した。
リレーフォーライフの現場に着いたのは午後9時過ぎ。
時々ポツポツと雨粒が落ち始めた会場にはサックスの生演奏が響き、驚くほど多くの人がタスキを繋いで歩いていた。
チームKeiのテントに行くと、「にじいろ」や「おかやま」の佳倶楽部、そして「野市遊びすとくらぶ」の皆さんを中心に、県内外から集まってくれた人達の優しく楽しげな笑い声で、とても暖かいコミュニティーができあがっていた。
とりあえず30分ほど歩き、午前4時から再び歩くことにしてテントで仮眠を取っていると、夜半辺りから急に雨が強まり、やむなく隣接する武道館に避難し柔道場で寝ることになった。
そして翌朝、予定の時間になり目を覚ますと雨脚は益々強くなっていて、それでもレインスーツを着て歩き始めると、ついには雷鳴まで響いてきた。
「いや…カミナリや〜!!」
一緒に歩いていた女性が少しこわばった声で言った。
そのとき、もう一人共に歩いていたのが野市遊びすとくらぶのかー君だった。
かー君といっても僕より年上の男性で、ハウスでなすびを作り、川や海で魚を捕っては新鮮な魚料理を食べさせてくれる気さくな田舎のおんちゃん(ごめんよ)。
いつも前向きで明るく冗談を飛ばすかー君が、いつものように明るく笑いながら言った次の言葉に、僕は思わず涙があふれた。
「カミナリも一緒に参加したいがよや(参加したいんだよ…きっと)」。
・・・・・。
心臓を病み、無理は利かないはずのかー君が、がん患者のために24時間歩くこのイベントに参加し、激しい雨に打たれながら全てを前向きに捕らえて明るく笑っている!!
おそらくかー君にすれば、例えば救急車のサイレンが聞こえたときに「ほらほら迎えに来たぞ」というような、そんな軽い気持ちで言った言葉だったんだろうけれど、同じように雨粒に打たれながら歩く僕の胸の奥の奥にまで強く響いた。
その後イベントは大雨のため予定を繰り上げて中止となりステージで歌うことはできなかったけど、この人達と出会い、今年このイベントに参加できたことを心から幸せに思った。
開け放った窓から爽やかな秋風が吹き抜ける今日は月曜日。
月跨ぎの週が終わり、正真正銘丸ごと神無月の週に入った。
日に日に気持ちよく空気が澄んでいく10月。
誕生月でもあるこの月は、一年で最も好きな月。
この世に生まれたこと、今こうして生きてることを改めて有り難いと思う。
みんな、ほんとにありがとう。